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花形新派公演『紙屋治兵衛』 8/20午後の部

2008.08.23 *Sat
観劇生活12年のなかで一度も手をつけていない分野が・・・宝塚・大衆演劇・演歌系公演・そして新派です。どうしても新派に行こうって気持ちが今まで起こらなかった。でも、片岡愛之助さんが新派120年記念公演に出演するということで・・・今回思い切ってチケット購入してみました。
ちなみにこの2日前には「演劇フォーラム・新派を語る」という講演会も見に行きました。新派については全くの無知だったのでけっこう勉強になりましたね。特に川上音二郎一座が新派の礎のような立場にあったとは知らなかったです。この話になった時に水谷八重子さんが熱く貞奴について語っていたことがとても印象的でした。ちなみに第2部からは愛之助さんも参加されていたのですが、雰囲気的にかなり硬い空気だったのでいつものようなトークは影を潜めてました(笑)。過去に参加した新派公演の裏話とかは面白かったです。愛之助さんが喋るたびに八重子さんが目を輝かせながらその様子を見守っていたのがとても印象的でした(笑)。

ということで、初・新派。講演を聞いてちょっと興味は持ったもののやはり自分に合うかどうかの不安もあって観劇前はちょっと微妙なテンションだったのですが・・・見終わった時の感想としては「歌舞伎見ているみたい」だった。歌舞伎の心中ものって感覚で見てしまいました。女形の役者さんも出演されているのですが、主要な人物は女性が演じています。違う点はそこだったかな。歌舞伎公演に本物の女性が参加している、みたいな。
正直、私は新派だろうが歌舞伎だろうが、心中物語は好きではないんですけど(劇中のセリフにもありましたが心中する理由が納得できないものばかりなので 苦笑)・・・全体的には面白いと感じる部分も色々ありました。やはり女形さんではなく本物の女優さんが演じると歌舞伎とは一味も二味も違った雰囲気になりますね。

主な出演者
紙屋 治兵衛 :片岡 愛之助、おさん: 鴫原 桂、小春 :瀬戸 摩純、おきん: 英 太郎


以下、物語や役者さんについて少々。



三越劇場は初めてだったのですが、こじんまりしてなかなか見やすい劇場でした。新派公演にはかなり向いていたかもしれません。客入りが不安視されていましたが、私が見た限りでは1階席は7割くらい埋まっていたと思います。客層は・・・やはり私の年代は少なかったですけどね(汗)。

物語としては「だらしない男」の顛末みたいな感じ(爆)。紙屋の主人・治兵衛はとてもよくできた奥さん・おさんがありながらも、どうしても遊女・小春との関係が断ち切れない。治兵衛もそのことについてものすごく罪悪感を抱いていながらも、ついつい誘惑に負けてしまうわけで・・・話が丸く収まりそうになるのに自らその道を違えてしまい、果ては人殺しに至るというなんとも微妙な展開(苦笑)。それが原因で心中、と、まぁお約束の結末に陥るわけです。

なんと言いますか・・・私は治兵衛には感情移入できなかったなぁ。あれは奥さんであるおさんさんに対してあまりにもだらしなさすぎるだろうう。それから治兵衛が切るに切れなかった小春にも感情移入できなかった。なんというか、奔放すぎる(苦笑)。可愛い奔放っていうんじゃなくてちょっとムカつくような奔放さなんですよねぇ。でも男はあんな小悪魔的な女性に惚れてしまうんだろうなぁ。結婚するには考えちゃうけど愛人としては最高みたいな感じなんでしょうか(苦笑)。もしも私がおさんの立場だったら即刻離縁ですけどね(笑)。
でもその反面、治兵衛の気持ちもちょっと分かってしまうことも・・・。おさんさんは本当にものすごく良くできた奥さんであるが故に治兵衛的には息苦しく感じてしまう部分もあったかもしれない。その時の発散できる場所というのが彼にとって小春だったんでしょうねぇ。ま、どっちにしても優柔不断でどうしようもない男だなぁとは思いましたけど(苦笑)。

そして一番モヤっとしてしまうのがクライマックスの心中。治兵衛はあんなに奥さんと涙ながらに誓いを立てたのに、彼女がいない隙にやってきた小春を拒みきれずズルズルと付き合ってしまう。果ては小春の母親にプッツンしてしまい(この母親が外面は弱々しいのに実は強欲っていうとんでもない人物で笑えます)殺してしまい、小春はそんな治兵衛が哀れで一緒に心中すると決意・・・というなんとも腑に落ちないラストです。心中するシーンまではやらないので、ひょっとしたら先に小春が死んでしまったあと治兵衛は結局怖くなって生き延びちゃうんじゃないかとさえ思ってしまいました(爆)。

と、ストーリー的にはあまり好きにはなれませんでしたが・・・愛之助さんの治兵衛は「どうしようもない男」ながらも可愛さ・憎めなさみたいな雰囲気もあって途中まで非常に楽しませてもらいました。ああいった情けない上方男が愛之助さんにはハマりますね(笑)。それに新派の空気ともけっこう合ってるのかもしれない。

今後新派を進んで観に行くか・・・と聞かれれば「うーーーん」という感じですが、今までよりは拒絶的な感じではないかも。9月の京都公演にも愛之助さんが出演ということなので・・・夜の部だけでも見に行ってみようかな。まだ悩み中ですけど(苦笑)。


うしばな
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