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世田谷パブリック劇場で上演されている『ドレッサー』を観に行ってきました。

この作品に長年憧れていたという三谷幸喜さんが演出。自分が作ったもの以外のものを手掛けるのはこれが2作目となるようですが、私は「桜の園」を見ていないのでこれが最初となります。自分で作ったもの以外を三谷さんがどう料理しているのかというのにとても興味がありました。
三谷作品はいつもチケットを取るのが大変なのですが、今回も例に漏れずだったようで。私はNACS枠でなんとか確保できましたが、2回申し込んだにもかかわらずこの1回のみしか当選できなかったのでファンクラブ内でもかなりの激戦だったのではないかと思われます。劇場に着くと当日券で立見席をゲットした人がかなり大勢待っている状況。競争率も激しいみたいです。

パブリック劇場に来るのはたしか昨年の『英国王のスピーチ』以来。あの作品は本当に大好きでかなり泣かされたものです。その前が三谷さん演出の『ベッジ・バードン』。大泉洋君が最初に外部出演した舞台だったな。
そして今回の『ドレッサー』。いずれもイギリスを舞台にした作品。パブリック劇場は英国を基盤にした作品を上演しやすいのかな。


この作品は過去に日本でも上演されていたとのことですが、私は今回が初めまして。事前にツイ友さんから「大泉洋君の役柄は当て書きしたと思えるほどハマっていると思う」という情報を得た以外は何も知らない状態w。まさに白紙状態での観劇スタートでした。
で…見終った感想は…めちゃめちゃ良かった!!!殆どが橋爪さんと洋ちゃんの二人による会話劇でしたが、これがまた濃密。テンポもいいし二人の会話から次々に状況が浮かんでくる。セリフもよく通るし分かりやすい。最初のうちは笑いのシーンが多くけっこう楽しくて、後半からクライマックスにかけてとてつもない切なさが押し寄せてくる。このメリハリがすごくて…最初はあんなに笑えたのに終わった時にはボロボロ涙を流していました。

カーテンコール、1回目は洋ちゃん放心状態でまだ涙目。でも2回目以降は笑顔が戻っていつも通りのお茶目な姿になんだかホッとしました。3回目のカテコが劇中と重ねているのが何ともおしゃれ。
そのあとも拍手が鳴りやまず状態でしたが、それに負けじと流れる追い出しアナウンスが勝り4回目はありませんでしたw。東宝なら開けただろうにな、とか思ったけど(笑)役者はかなり疲労が蓄積される舞台だと思うので仕方ないかなと。でもちょっと残念だったかもw。でも追い出しアナウンス流れている中でも拍手をしていたい気持ちにさせられる、そんなすごい舞台でした。


出演者
座長:橋爪功、ノーマン:大泉洋、座長夫人:秋山菜津子、アイリーン:平岩紙、オクセンビー:梶原善、マッジ:銀粉蝶、ソーントン:浅野和之、劇団員:本多遼、永友郁真

声のみの出演段田安則、高橋克実、八嶋智人


以下、ネタバレ有りの感想になります。








ストーリーの舞台は第二次大戦下のイギリス。シェイクスピア劇団の年老いた座長は長引く戦争の影響からか鬱状態となり街中で奇行を起こして病院に担ぎ込まれる。折しもその日は「リア王」上演日。座長のドレッサー(衣裳係兼付き人)であるノーマン座長の妻はどうしのごうかと激論を交わしている。そんな時、病院から無理やり抜けてきたと言ってひょっこり座長が楽屋にやってくる。もともと「リア王」を何としても上演させたいと主張していたノーマンは安堵。座長の体調や精神状態が不安定な様子を見て舞台監督のマッジや夫人が反対する中、ノーマンは上演ありきで座長を鼓舞していく。
時折不安定になる精神状態の座長を必死に盛り立てて何とかリア王の扮装をさせるのに成功するノーマン。いよいよ舞台の幕が開く時が来たものの、物語が始まっても座長が舞台袖から動き出す気配がない。焦ったノーマンや劇団員たちは必死に奮い立たせようとして何とか舞台を務めあげさせることに成功。
ところが、舞台がはねた後に予想外の出来事が起こり…

といった内容でした。

この舞台で特徴的だったのが舞台セット。一番手前に最も多くの時間を費やしている楽屋セットがあり、その後ろに楽屋の外の廊下や他の役者たちの控室の扉、そして舞台袖への扉がある。そしてさらにその奥に1幕冒頭とラスト、2幕頭に出てくる舞台袖セットが仕込まれていました。場面ごとに中央から両袖に引っ込んで新しい場面が出てくるこの演出はなかなか見応えがあり印象深かったです。
座長の楽屋シーンのときにも廊下と楽屋の扉セットは常に見えている状況で、後ろを劇団員たちがウロウロ歩き回っている。彼らはほとんど座長の楽屋に入ってくることはないのですが、廊下を歩いていながらも何かを話し合っていたりしてちゃんと芝居してる。時々楽屋の扉からメイク途中のソーントンオクセンビーが顔を出しているのがやたら面白かった(笑)。こういった見せ方がなんだかすごくリアルだなと思いましたね。

楽屋でノーマンがやる気が起こらず鬱状態になっている座長を盛り立てるシーンに1幕をほぼ使っています。メイクを完了し衣装に着替えるまでに1時間ちょい時間使うってすごい作品(笑)。その間はほとんどが座長役の橋爪さんとノーマン役の洋ちゃんによる二人芝居です。特にノーマンは座長に何とかやる気を出してほしいと必死になっているので喋る喋る!!時折一人で二役を演じるかのようなシーンもあったりして「一人芝居は疲れる」なんて言うセリフも出てきたり(笑)。とにかくハンパないセリフ量でした!よくあれを覚えたし、殆ど噛むことなく喋り切ったなぁと…本当にその部分でもすごい感動モノ!たしか、次に公開予定の映画のために手品の勉強もしてるんですよね、洋ちゃん…。それを考えると本当にすごいと思ってしまいます。
そして橋爪さん演じる座長さんのワガママっぷりがもう最高潮で面白いのなんの!立ち直ったかと思えばすぐにやる気を失ってしまうし、やる気が起きたかと思えばノーマンを思いっきりコキ使う。そんな中で、やっとメイクに取りかかったかと思ったら「リア王」じゃなくて「オセロー」のメイクで顔を黒く塗ってしまうシーンがものすごく笑えました(笑)。リアは白塗りですから黒だと話が変わっちゃうwww。それに気づいたノーマンが必死に色を落とそうとするんですが、その際に座長の額を思いっきりペシッと叩いちゃったり(笑)。叩いた後に洋ちゃんちょっと素が出たのか「あ、今回はちょっと強くやりすぎました」と焦っちゃってたり「いつもより多めにクレンジングしてますからっ」ってアタフタして油を塗りたくったりwww、橋爪さん相手でも物怖じしてません。このやり取りはめちゃめちゃ笑えました(笑)。

で、徐々にリア王メイクが完成していくわけですが…見る見るうちに橋爪座長から橋爪リア王に見た目が変わっていく様は何だか感動的。ちょっとしたバックステージを見せてもらった感じ。橋爪さんもよくあんな不安定な言動や態度の芝居をしている中であそこまで完成されたメイクを書けるよなぁと。髭を付けてガウンを着て、仕上がった姿は本当に劇中のリア王そのものでした。
ここに至るまでに本当にノーマンをこき使いまくったり振り回したりしてる老座長なのですが、なぜかどこか哀愁が感じられて憎めない。そんなギリギリの味を見事に表現しきっている橋爪さんは本当にすごい役者だなと思いました。

あと笑えたのが、2幕冒頭で「リア王」が始まってしまったシーン。いよいよ座長のリア王が登場するというシーンになるのですが、再び鬱状態になってしまった座長はその場を動こうとしない。舞台上に出て行ってしまった役者達は決死のアドリブでその場を凌いでいるんですけど、コーデリア役である座長の妻もやったことがないアドリブでつないでて(笑)。それを見たノーマンが「奥様がアドリブをやっているのを私初めて観ました!!」と叫ぶww。この言い方が洋ちゃん絶妙で!!あれはホント笑いました。
そして、やっとのことでようやく座長が舞台に上がるわけですが・・・嵐のシーンの音出しをする人数が圧倒的に足りない。ノーマンも加わって必死に音を立ててるんですけど、そのさなかにティンパニー役の若い役者がダウン(笑)。もうてんてこ舞い状態でマッヂまで加わったりして大あらわ。その助けの輪に加わろうとしないオクセンビーがあまりの危機的状況についに自分をまげて雷の音を担当するんですけど、その必死さがまた面白くて最高でした!こういうドタバタ劇の面白さを見せるのが三谷さんは上手いですよね。

面白いといえば、出番は地味ながらも代役で急遽道化役を任されてしまった浅野さん演じるソーントン。舞台袖で必死に自分の動きを確認してるんですけど、衣装もブカブカ、靴もブカブカで何とも滑稽な姿(笑)。踊り出すと決まって靴が脱げちゃうというヘタレた初老の男性を浅野さんがものの見事に熱演。「ベッジ・パードン」では一人何役もこなして笑いを提供してくれましたが、今回も地味ながらも面白味ある動きで魅せてくれました。
ちなみにこのドタバタ『リア王』劇、出てくるシーンは舞台袖のみで舞台に上がった姿は客席からは見えません。ということで、リア王に出ている他の出演者は声のみ流れてくるわけですが…このメンバーが段田安則さん、高橋克実さん、八嶋智人さんと超豪華!まさに三谷さんの舞台だからこそ実現したシーンだなと思いました。

で、なんとか無事に『リア王』の舞台が終わるわけですが…そのあとから人間関係の何だか黒っぽい部分がチラホラと見えるようになってくる。特に、老座長を色仕掛けで利用してのし上がろうとする若い女優アイリーンのシーンはかなりスリリングです。
それを察したノーマンが彼女を挑発するわけですが・・・その過程で座長に対する醜い言葉がたくさん出てくる。それまでは座長に何をされようと健気に尽くしまくっているノーマンの姿が印象的でしたが、実はその過程の中で彼自身の心の中に座長に対する歪んだ黒い気持ちもあったんだということを思い知らされるのです。座長を鼓舞する合間合間に酒を飲んでいるのもここでなんだか納得できる。

やがてノーマンは座長に対して本心を剥き出しにした接し方になっていく。だけど責め切れてない。座長から「いつかは報いなければと思っている」と抱きしめられると感動に胸震えている。このあたりで、ノーマンが座長に対して歪んだ愛情を持っているということがヒシヒシと伝わってきて…一気に切なくなってしまいました。
が、さらに切ないのは座長がノーマンと語っている最中に急死してしまうことです。しかも、書きかけの自伝で最初に出てくる献辞を読んでいるときに…。そこに自分の名前が出てこないことに焦るノーマン。でも次のページにさらに続く文言があって自分の名前が出てくることを大いに期待。しかし、めくった先にも自分の名前が載っていない。これに対して座長に対して抱えていた複雑な感情が爆発して責めようとするのですが、すでにその時に座長に息がなかった。つまりノーマンは座長に対する自分の複雑で歪んだ愛情を知ってもらうことができなかった。
ストーリーを全く知らないで見ていた私は座長が死んでしまったことにものすごくショックを受けてしまい…さらには届かない自分の気持ちのぶつけ場所を失ったノーマンの慟哭が切なくて切なくて…なんだか涙が止まりませんでした(涙)。

もう一人切なかったのが舞台監督のマッジ。彼女は密かに座長に想いを寄せていましたがその気持ちを生きているうちに彼に伝えることができなかった。座長から指輪を渡されても受け取れずに返してしまったマッジが、事切れた彼の指からその指輪を抜き慟哭するシーンもすごく泣けました(涙)。
そんな彼女を見てノーマンは「そういえばこの手帳にはあんたの名前もないんだよな」という言葉がを吐く。座長の死に今までの感情を解放するかのように涙する彼女に「俺は座長に食事を奢ってもらったこともビールを奢ってもらったことも一度もない!!」と泣き叫ぶノーマンの気持ちも痛いほど伝わってきて涙涙…。

これまで自分を振り回し続けてきた座長に対し、憎しみにも似た気持ちもあったノーマンでしたがその根本にあるのは座長に対する「愛」なんですよね。どんなに恨み言を言っても座長が再び目を開けてその言葉を聞いてくれることはない。そうしていくうちに、ノーマンは自分がどれだけ座長のことを想っていたのかを痛感する。いつの間にか座長はノーマンにとっての「居場所」になっていたんですよね…。恨み言を口にしては「座長…座長」と泣き崩れるノーマンの姿には本当に涙が止まらなかった(号泣)。
座長が献辞にノーマンとマッヂの名前を記さなかったのはなぜか…。その答えは舞台上には出てこない。でもせめてそれは、座長が一番心を寄せていて近すぎた人だったからこそ書かなかったんだと思いたい。本当にノーマンやマッヂを鬱陶しく感じていたっていうオチなのかもしれないけど、だけど、今回の三谷版『ドレッサー』のなかでは座長はノーマンとマッヂを誰よりも大切に想っていたと思いたい

ラストシーンは物言わぬ座長の傍らでノーマンが『リア王』に出てくる道化の歌を歌います。リア王と道化の関係がそのまま座長とノーマンにリンクしているということですが…「リア王」のホントの話ほとんど忘れちゃったな(汗)。そういった意味でももう一度見たかった。
だけど、暗闇の中で一人道化の歌を歌うノーマンの姿は本当に小さくて頼りなくて泣けて仕方ありませんでした(涙)。

今回の舞台は殆どが橋爪功さんと大泉洋くんによる二人芝居と言ってもいいくらいの作品。なので、特に浅野さんや梶原さんの使い方が勿体ないなぁと思ってしまいましたね。でも出番が少ないながらもちゃんとそこに空気でなく人物として存在感を出していたのはさすがでした。平岩紙さんは生で初めて見たのですが、つやつやしててすごく可愛らしい方!裏表のある女優役を熱演してました。夫人役の秋山さんやマッヂ役の銀粉蝶さんもさすがの存在感!素晴らしかったです。そして橋爪さん、味のある親しみやすい名演技堪能させていただきました!

最後に洋ちゃん、前半の軽妙なトークの連続で見ているものをクスッとさせる芝居と後半からクライマックスに至るまでの激しく胸張り裂けるような芝居のメリハリが本当に素晴らしかった!!後半は本当に私、洋ちゃんが演じるノーマンに完全に心寄せてしまったから。一見するとウザっと思ってしまうノーマンの図々しさも洋ちゃんが演じるとなんだか許せてしまう。そんな魅力的な人物を熱演してました。
やっぱり私は大泉洋の芝居がものすごく好きだなぁと再確認!また舞台に立つ彼の芝居を観たいです!!

三谷作品は映像化されることが多いんですが、今回の『ドレッサー』もぜひお願いしたいものです。できればWOWOWで…!!



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