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2年ぶりに再演された『レ・ミゼラブル』を観に行ってきました。今公演から演出が一新されています。

ちょうど映画も公開され話題性もあり、レミゼに対する周囲の関心も今まで以上に上がっていた今年。ところが、なぜか上演前から何かとアクシデントというか、トラブルというか…演劇ファンの間に波紋が広がっていたのは確か。

まず最初に出演予定者として名前が挙がっていた山口祐一郎さんが謎の降板。ちょうど某チケットサイトでの前売りも始まり、キャスト予定表も出回っていた時期でした。祐一郎さん目当てで先行チケット入手してしまった人もいたのではないでしょうか。ちょっと、降板するにも時期が遅すぎたような気がします。
その次に起こったアクシデントが福井晶一さん無念の休演。祐一郎さん降板の後新たなキャストとして発表された福井さん。おそらく四季の年季明けを待ってのことだったと思うのでそのことに関しては仕方のないことだったと納得しています。それに、発表前から噂はずーっと聞いていたので驚きもそんなに大きくなくw、むしろレミゼへのテンションが上がったくらい。ところが、四季を出て初めての大舞台に張り切りすぎてしまったのか…稽古中にアキレス腱を痛めるという大怪我をしてしまったそうな…。私、福井さんのバルジャンとジャベールは観たいと思い当初の予定よりも多くチケット購入してしまってまして(汗)本当にがっくりです。6月から復帰予定とのことですが、5月に入れていた2回の福井さんキャストチケットは払い戻しできず…。それで来たのが今回です(苦笑)。
そしてさらに、キムさんがプレビュー中にプライベートで(?)負傷したらしく休演。バルジャンとジャベールを3人のキャストで回しているわけですが、そのうちの2人がアウトになってしまい…なんと、GWの掻き入れ時と思われる時期に上演中止となってしまったそうな。幸いそのあと早い時期にキムさんは復帰されましたが…どんな怪我だったのか、など詳細なことは分からないまま。公演中止時には主なキャストが払い戻しに来たお客さんに頭を下げていたそうですが、キムさんは姿を見せず…お詫びのコメントもなかったんだとか。なんともこの中止公演のチケットを持っていた人にとっては不幸な出来事だったと思うし、なんだか腑に落ちない点も多い出来事でした。

本公演が始まる前からこのように違った意味で注目集めていた今年のレミゼ(苦笑)。正直、私も特別楽しみという感情はなかったな…。まぁ、私の場合は旧演出だった時も短縮版になってからめっきりテンション上がらなくなっているわけですが(爆)。

チケット譲渡のサイトにもたくさん出ている状態で、正直、客席はけっこう空席が多いのではないかと予想していました。ところが、行ってみてビックリ!補助席にまで座る人がいる程の盛況っぷり。1階席は私が見た限りではほぼ満席だったと思います。そんな状況にちょっとホッとしたりしてw。
まぁ、何だかんだ色々ありましたが、結局のところレミゼファンは熱いなぁと実感したのでした。

レミゼといえば、これまでカーテンコールで役者が花束を客席に投げ入れるというのが恒例になっていましたが…今回からそのパフォーマンスが無くなりました
花の投げ入れは前方席だけの特権みたいな感じで、飛んでくる花に我を失って飛びかかってくる人とかもいたりしてけっこう戦場みたいになってることも多かったので(爆)それが無くなったことは個人的に歓迎しています。ただちょっと、カテコがあっさりになってしまったなという一抹の寂しさもありましたが…。この日は特にあっさり終わったという印象が強かったw。でも、これがちょうどいいとも思う。


主なキャスト
バルジャン:吉原光夫、ジャベール:鎌田誠樹、エポニーヌ:昆夏美、ファンティーヌ:和音美桜、コゼット:若井久美子、マリウス:原田優一、テナルディエ:駒田一、マダムテナルディエ:浦嶋りんこ、アンジョルラス:上原理生、司教:田村雄一、ガブローシュ:加藤清史郎 ほか



以下、ネタバレ感想です。


新演出になったということで、前回と色々と比べてしまった今回の観劇。
長い間慣れ親しんできた演出だっただけに、どうしても頭の中で「前はこうだったのに」みたいに比べてしまうんですよね(汗)。演劇は本当に演出が変わるだけで同じ演目でも全く違った印象を受けるものです。それは本当にすごいなぁと思います。

まず全体的に大きく変わったのがセット。これまでは殺風景な背景でセットも抽象的なものが多かった気がします。それが、今回は視覚的に分かりやすいセットになってました。上手と下手の部分に大きな建物のセットを出して窓から人が覗いてる、といったようなシーンがいくつも出てきた。旧演出ではあの部分はほとんど使われてなかっただけに、今回はフル活用してるなと思いました。半円型の舞台って感じかな。立体的。ただ、この演出だと端の席から見切れてしまう場合があるようで…。1階席の見切れるところは値段下げればいいのにと思いました(苦笑)。
それから、映像を多用しています。建物も分かりやすいセットになっているのですが、背景に映像を使うだけでより鮮明にそこがどこなのかが客席に伝わるようになっています。一番すごいと思ったのが下水道の映像。旧演出では抽象的な表現でしたが、新演出ではハッキリと「ここは下水道です」って主張してる感じw。瀕死のマリウスを背負ってバルジャンが歩くシーンとかも見ていてハッキリそうだと分かる演出になってました。ただ、あの場面は観客がバルジャンが下水道を必死に歩いてる背景を想像しながら見る楽しみもあったので…その点ではちょっと寂しさも残ったりして。だけど全体的には映像の使い方は上手いなと思いました。最近の映像技術は本当に進歩したなぁって感動。エリザベート初演の頃の映像なんか「ナニコレ」って言いたくなるようなものでしたからねw。

音楽も全体的にアレンジが変わりました。オーバーチュアは旧演出だと低めでドスンと胸に響いてくる感じだったのですが、新演出ではキーが上がっていて少し軽くなった印象。そのかわり色んな音が増えていて聞いていてけっこう楽しかった。ライトなクラシック音楽って雰囲気だったかも。レミゼファンの間では不評なようですが、私は今回のアレンジ、なかなか気に入ってます。

あと、キャプションも変わってた。バルジャンの独白からパリのシーンに移るとき。これまではパリの町が出てきたときに「10年後・○○」とかいうト書きのようなキャプションが出てきたのですが、今回はありません。バルジャンの独白が終わったところで『レ・ミゼラブル』というタイトルが出てきます。
つまり、バルジャンが牢獄から出て姿を消すまでがプロローグである、ということを強調してるのかなと。パリの町が出てきてからが本編です、みたいなそういうメッセージ性を感じました。これはこれで良いんじゃないかなと。ただ初めて見る人にとってはちょっと不親切かも?

それと…以前よりもアンサンブルさんたちの声が大きくなった、というか、芝居がかっていた。
どちらかというと前までは「歌」を前面に出していて合いの手を入れるのもそれを邪魔しないくらいで入っていたと思うのですが、今回は自分たちの歌のパートではない部分でもアンサンブルさんたちが積極的に発言をしているという印象が強い。なので、以前よりも少しストプレ的な雰囲気を感じました。特にABCカフェでの学生たちのシーンは活気に満ち溢れていて緊迫感もあった。私はこういう感じ、嫌いじゃありません。むしろ、いいなと思います。

そうそう、前回までフル活動していた舞台の盆は今回全く使われていません(苦笑)。盆が回って時間軸を表現したりする前演出に慣れ親しんできてしまったのでこの点はけっこう違和感ありました。特にバリケードシーン(バリケードそのものも以前に比べるとかなり小ぶりになっていますw)。バリケードの向こう側が盆が回らないのでどういう状況なのか客席からは分からないんですよね。だからガブローシュの見せ場が歌のみで表現されていて…観客はそこから彼がどういう状態なのか想像するようになっている。
バリケードでの銃撃戦の演出は光を上手く使っていてなかなかいいなと思ったんですけど、ガブローシュの見せ場シーンだけはちょっと残念な改変だなと感じました。必死に銃弾を拾っている健気な姿に涙していた人も多いだろうに…それが今回から見れませんからね(涙)。あそこは盆が回った方が良いんじゃないかと思ってしまいます。
盆が回らないので、アンジョルラスのバリケード上でのエビ反り最期シーンもなくなりました。政府軍の引くリヤカーに仰向けになったアンジョルラスが乗せられてるって感じで…。ガブローシュも最後その隣に乗せられてたな。彼らの死に拍手が起こらなくなったことは個人的に歓迎するけど(私はいつもあの拍手に違和感を覚えていたので)…演出的にはちょっと見せ場が減らされたなって思ってしまった。まぁ、リヤカーに乗せられているというほうが戦いの虚しさが強調されていていいのかもとも思いますけどね。

それから…マリウスのカフェソングの演出が大きく変わっていたのも驚いた。「カフェソング」って、学生たちで集まっていたカフェで歌うものだとずっと思ってきたし、旧演出もそうだった。しかしながら、今回はで歌われてます。静まり返った町をマリウスが呆然と歩きながら歌うって感じ。それも絵的には良いし女性たちが残して行った灯りを死んでいった学生たちが拾って消えていく演出も良いと思う。
だけど、カフェ感がまるでないというのはちょっとねぇ…。"空のイスとテーブル"とか"窓に映る影"とか"床にも姿が"とか…あれ、やっぱり、カフェで歌わなきゃ臨場感ないよ(苦笑)。こういう演出にするんだったらいっそのこと歌詞も全部変えればいいのにと思ってしまった。

前後しますが、テナルディエの酒場シーン。旧演出よりも輪をかけて環境が悪化してて正直ビックリ…というか、引きました(爆)。以前までのカフェはなんて居心地良さそうなところだったんだろうと実感するほど劣悪な環境になってて本当に驚いた。テナルディエ達が狙いを定める客も雰囲気が違う。特に2人目。かなり残酷な事されてます…。さらには、ここには書けないような事例もいくつか追加されており…(汗)…ちょっと、あのシーンだけは本当に旧演出に戻してほしいと切に思ってしまった。
海外では違和感なく見れるのかもしれないけど、日本人はああいう負のエネルギーが充満してるような雰囲気受け入れづらいんじゃないかなぁ。私は嫌悪感持ってしまったけど。単に私が苦手ってだけかな(←ベガーズオペラもそんな雰囲気で苦手だったし 苦笑)

そして、私にとってレミゼで最重要ポイントだったあのシーン…。スミマセン、今回もボヤかせていただきます(爆)。バルジャンがマリウスに自分の身の上を告白する、あの場面です。
短縮版になって、私の一番好きだったフレーズがごっそり削られてしまい…それ以来レミゼのテンションがどうしても上がらなくなってしまった。見るたびに諦めにも似た溜息が出るし…。映画を見たときにも微かに期待はしたもののやはりカットされてて…。ただ映画ではそれに代わるようなセリフが出てきたので少しは救われたんだよな。
で、今回新演出になるに当たり、最初の頃は「カットされたシーンやフレーズがいくつか復活するらしい」という噂を聞いてまして。だけど、映画でも出てこなかったから期待するのは止めようって思ってました。だけどやっぱり、心のどこかで数パーセント期待してしまってた…あのフレーズの復活を。

結果…ダメだった…(涙)

無いだろうとは思っていても、すこーしでも期待してしまったがゆえにガックリ度も大きい(苦笑)。あぁ、やっぱり私の好きだったレミゼはもう戻ってこないんだなという絶望感すら漂った…。
それどころか、バルジャン臨終のときのコゼットに対する告白シーンの訳詩を聞いてまたビックリ。
「私は父じゃない」
と言うフレーズがまるまるカットされてた…!!!ただ単にコゼットはファンティーヌが命を懸けて私に預けた子供だって知らせただけだったよ…。あぁ、また一つ私の涙ポイントだったフレーズが削られてしまったと更なる絶望感が…(涙)。

マリウスに対する「愛する息子よ」と、コゼットに対する「私は父じゃない」。この二つのフレーズ、バルジャンの切ない気持ちがすごい込められてると同時に愛溢れる人物像が感じられてとても好きだった。なんでこの2つが消えたのか…復活しないのか…私は理解ができない。
正直、2幕途中までの新演出は疑問に思うこともあったけどどちらかというと他の人が言うほど嫌じゃなかった。だけど、クライマックスでまた一つ私の想い入れの深いフレーズが削られたことでテンションがものすごく落ちたことは確か(苦笑)。

新演出については、ほかにもいくつも書きたいことはあるのですが…何気にあと3回予定に入ってしまっているので(爆)その時にまた加えていこうかなと思います。


キャストについて少々。

吉原@バルジャン
前回公演のときにも観ていますが、2度目ということもあってバルジャン役に深みが出ているなぁと思いました。囚人の時のバルジャンは丸刈り状態なのですが、遠目から見る限り本当に坊主になっていたのではないかと。他のバルジャンも冒頭は皆丸刈りなのかな…とか気になったw。なんか全体的に恰幅が良くなった感じで、時折今井清隆さんのバルジャンが頭をよぎりました。さらに重ねて演じることによって今井さんのような温かみが出てくるのではないかと楽しみです。

鎌田@ジャベール
おそらく、最初で最後の鎌田さんのジャベールだったと思います。この日は実は福井バルジャンと川口ジャベールの日だったはずなんですけど…福井さんの怪我によって変更になってしまった。その変更で新しくジャベールに抜擢されたのが鎌田さんです。彼のジャベールは実は福井さんのソロコンサートでゲスト出演した時に見ました。あの時、鎌田さんプリンシパルキャストも行けるんじゃない!?と思ったので今回の昇格はなんだかとても嬉しかった。
恐らくこれが大舞台での初めてのプリンシパルキャストだったと思われる鎌田さん。歌はすごく上手いし、深みもある。レミゼに数年前から関わっているということもあってか世界観に馴染んでいるようにも見えました。しかしながら…やはり、主要キャストとしての貫禄という点においてはどうしても周囲の皆さんに比べると貧相に見えてしまう。バルジャンとの対決シーンではファンティーヌの病院の時点ですでに殺されていても不思議じゃないって思ってしまったし(苦笑)。なんだろうなぁ、上手いんだけど、やっぱりそれだけではダメなんだなって感じました。それまではプリンシパルではなくアンサンブルとしてずっとお稽古されてきたと思うので、今回の急なキャスティングはちょっと鎌田さんにとっては酷だったのかもしれません。
だけど、ジャベールの自殺のシーンはなかなか良かったです。特にあのヘタレな表情がなんていうか…すごく萌えた(笑)。もう泣きそうな感じで歌ってて思わず感情移入してしまったよ。それにしてもあの自殺シーンの新演出、「あ、ジャベ飛んでる」って思っちゃった(笑)。
鎌田さん、これをきっかけに今後プリンシパル級の役が来ればいいなと思います。経験が増えていけば貫録も出てくるだろうし、そうすればすごく良い役者さんになると思う。頑張ってほしいです。

昆@エポニーヌ
可愛いし、健気だし、なかなか良い雰囲気のエポニーヌでした。ロミジュリの頃から比べると本当に大きく成長した女優さんだなぁと。歌もすごい安定感出てるし。笹本さんや新妻さんのような女優さんになってほしいと思います。そういえばエポニーヌ、新演出ではマリウスを庇って死ぬ設定になってますね。旧演出ではバリケードを昇ってくる時に撃たれるという設定でしたが…新演出のほうがドラマチックだなと思いました。

原田@マリウス
綺麗な歌声が魅力の原田くん。とても良かったけど…それ以上っていう何かは感じられなかったかな。平均的なマリウスって感じだった気がする。

和音@ファンティーヌ
彼女もすごく良かったんですけど、やっぱり何となくどこか物足りなさを感じました。コゼットに対する母性みたいなものがちょっと足りなかったかも?落ちぶれているときのお芝居はなかなか良かったんですけどね。

若井@コゼット
まず最初にびっくりしたのがやたら大人びたコゼットが登場したこと(笑)。服装もお金持ちのお嬢さん、みたいな雰囲気だったし、原田マリウスと並ぶとなんていうか・・・お姉さんっぽいなと思ってしまった。コゼットってもっと少女っぽい雰囲気があったのにずいぶん変わったなぁと(汗)。若井さんは歌はなんとかこなしていたと思います。

上原@アンジョルラス
前公演の時にすごく評判が良かったにもかかわらず見れなかった上原アンジョルラス。今回念願かなってようやく出会えました。うん、すごく、安定感のあるどっしりしたアンジョだった。リーダー的な頼もしさもあるし、何と言っても歌がすごく良いです。武骨な雰囲気も良かった。グランテールとのやりとりも寡黙な中にも葛藤がある感じでとても印象的でした。

駒田@テナルディエ&浦嶋@夫人
相変わらず濃い~です、駒田テナルディエw。何でもソツなくこなしてるって感じだしなにより芝居と歌に余裕があるのがいいです。キャラは好きじゃないけど、駒田さんの芝居は好きだしさすがだと思います。それからりんこさんの夫人…迫力ボディにも圧倒されましたが…それ以上に夫人の性格が怖い(汗)。完全にテナルディエ支配してるって感じのあのふてぶてしさ!ドンって感じのテナルディエ夫人だったww。
そういえば、コゼットの結婚式シーンでのテナ夫妻のメイクがアッサリになりましたね。前まではどぎつい誰か分からないようなピエロっぽいメイクだったのに(笑)。今回のほうがスッキリしてていいと思います。

今回は司教様とバマタボアが単独キャストとして入ってるんですね(あれ、前回もそうだっけ?)。これまでは学生の役名が付いている人(レーグルだったと思う)が担当していたんですが、そのあたりはどうだったんだろう?田村雄一さんの司教様、遠目からは誰だかわからなかった。
ガブローシュは加藤清史郎くん。前回観たときよりもずっと良くなっていてちょっとビックリしました。歌も上手いしやっぱり芝居も上手い。なんだかちょっと逞しくなっていてよりガブローシュというキャラに近づいている気がしました。また見たいな。

次回はキムバルジャンで見る予定です。今回とキャストもずいぶん違ってくると思うのでどんな感じになるか楽しみです。例のシーンはもう諦めたので(苦笑)次回からは今回みたいなショックはなく見れると思う!?




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