を観に行って来ました。表の舞台写真つきポスターを写メしてみたのですが…節電中で明かりがついていなかったのでちょっと見づらくなってしまった(汗)。ソワレだったのでね。
と銘打ってまして、チケット代金の一部が被災地へ寄付されるそうです。チャリティーグッズになるという白虎隊キューピーも発売されていたらしいのですが…私が行った日には売り切れ状態で
。開演したあとも実はチケットが手元にない状況で、なにげに違う演目をこの日に入れたりしていたんですよね(爆)。しかしながら、やっぱり行きたい気持ちが勝りまして…違う演目は嫁がせ運よく手に入ったこの作品を観に行くことにしたというわけです。
でした!!いやぁ、よかった~。後半は本当に泣かされっぱなし。6年前に初演を観ていましたがほとんどその記憶があやふやだったので(苦笑)とても新鮮な気持ちで観れました。TS作品の中では
終演後には中川くんから挨拶があったんですけど、舞台が終わった直後なのでまだ役を引きずっているようなそんなちょっと興奮状態で。この公演が東日本大震災のチャリティーになっていること、今この時期に『風を結んで』という作品に携われたこと、客席からの拍手に毎回胸が熱くなっていること・・・などを感極まった状態で語ってくれてて、私は思わずそこでも涙がこぼれてしまったよ(涙)。ちょっとグダグダ気味で藤岡君たちにツッコミ入れられてて可愛かったですけどね。
この作品の舞台は
幕末から明治に移ったばかりの頃。時代の急激な変革により、これまで武士だった者達はその活躍の場がなくなり途方にくれていた。これはそんな彼らが変革期をどのように生き抜いていったかという物語です。
1幕は主にコメディ的要素の強い展開、2幕は後半からそれぞれのキャラクターが背負っていたものが浮き彫りになりこれまでの行動の謎が見えてきて
涙涙の連続。ここまで持っていくまでのストーリーの動きがとてもよくできていて素晴らしいと思います。
舞台セットは上手と下手に大きな
竹が数本立ってて、舞台中央奥に登場人物が主に登場してくるのに使用する階段状のものがある。たまに道場の雰囲気を出すためのセットが上から降りてくる以外は大きな動きはありません。かなり
シンプルなつくりなのが印象的。動きのないセットでありながらも屋内と屋外の違いがちゃんと観ていて感じ取れるし、スペースがあるのでダンスとかも役者さんたちが伸び伸びと動いている印象があって見応えがありました。
それから、
光の使い方も巧みでしたね。物語が盛り上がりを見せるような場面では舞台上から客席にパーッと光が動いてきたりして。ただ、この光がちょっと眩しすぎる時がありまして(汗)舞台上の人物がよく見えなくなったことも…。それだけはちょっと難点だったかも(苦笑)。
音楽はTSっぽさが全開。あの音色を聞くだけで
"あぁ、TSミュージカルだなぁ"って思えてしまう。シンプルなんだけど奥行きがあってどこか温かい。
初演の記憶がほとんど薄れてしまってたのですが、この作品のテーマソングでもある
♪風を結んで♪のナンバーだけは記憶に刻まれてたんですよね。それくらい印象深い。1幕クライマックスあたりからストーリーが盛り上がるたびに色んなパターンのこのナンバーが流れてくるので頭に残りやすかったのかもしれません。
"あぁ、このシーンでも流れてきたんだっけ"とか色々と思い出されることも多かったです。
それからもうひとつ記憶に残っていたのが
♪武具馬具ブギウギ♪。平吾たちが金を稼ぐために武士道具を売り払う時に出てくるのですが…このシーンが出てきた瞬間に思い出しましたよ、このナンバー。コミカルで独特なんですよね。思わず
"あっ、懐かしいっ"って思っちゃった(笑)。
この作品のキャラクター達はみんな生き生きとしていてとても印象深いです。
平吾、郡兵衛、弥助の3人は武士といっても落ちこぼれ軍団でみんなどこか情けない。特別武士に誇りを持っていたわけでもなかったけれども、それ以外の生き方も分からずにいた。
この3人のドタバタ劇がたくさん出てくるのですが、空回りしたり失敗したりワーワー騒いだりしていても彼らは彼らなりに
必死なんですよね。変わっていってしまった時代に必死についていって生き抜こうとしているっていう気持ちが伝わってくる。だから、どんなにコメディっぽいシーンがあっても、面白いんだけどいつの間にか
彼らを心から応援したいという気持ちが起こってきます。どんなにドタバタしていても根底にしっかりとしたものがあれば、こうして感情移入できるんだなって改めて思ってしまった
(どこぞの大型ドラマとは違うよな 苦笑)。
前半で彼らの楽しいシーンがたくさん出てきたからこそ、後半の展開は涙無しには見られません。なんか大河ドラマ『新選組!』を思い出したなぁ。
最初に楽しいシーンがたくさんあったからこそ、あのクライマックスの展開が泣けるのです…。仲間の結束が深まって、さあこれからって時にもう一度大きな時代の波が彼らを襲う。いつも一緒だと思っていた仲間たちが、それぞれの居場所を求めて散り散りになってしまうわけですが・・・
居心地のよかった場所から旅立っていく彼らの心境を考えると切なくて切なくて・・・涙が止まりませんでした(涙)。旅立つ先にはきっと過酷な運命が待っているって分かるから…。
それから武士の終わりの時代にどうしても馴染むことができなかった
右近も切なかったです…。
平吾たちとは違い、武士であることに心から誇りを持っていた彼にとって、幕末から明治へと切り替わった時代はとても
生き難かったと思います。廃刀令が為されたあとも、平吾に果し合いを申し出てくるあたりが必死に時代に逆らおうとしているようでなんだか見ていて痛々しい(涙)。妹を売りに出してまで武士の誇りを守ろうとする右近を平吾は激しく非難していましたが、そうまでして
武士の時代にすがろうとする右近はなんだかとても哀しく映りました。
妹を買い戻した平吾たちに借りができた右近は彼らが所属する渋々大道芸一座に加わりますが、どうしても馴染みきれない。時代の流れに比較的柔軟に対応している平吾たちとは違い、
こことは違うどこかの居場所を模索している姿が切なかったなぁ。さらに切ないのは、あんなに武士へのこだわりを強く持っているにもかかわらず刀を握ることに恐怖心を抱いてしまったということ…。これはもう、
二重苦。平吾たちのように生きられればって心のどこかでずっと思ってたんじゃないかなぁ。
そして再び武士の風が吹き始めた頃、一座の仲間だった大輔と共に新たな居場所を求めて飛び出していきます。そこで再び武士としての自分の魂に火がつき刀を振るい、そして散っていった右近…。剣に倒れたのではなく、
銃弾に倒れたというのがさらに哀しかったな(涙)。右近が求めていた居場所は結局どこにもなかったということなのかもしれない。切なかった…。
そして一番謎の存在だった
捨吉。
平吾たちを常に助け、自らを多く語ろうとしなかった彼の
真実の姿が明かされる2幕のクライマックスも涙無しには見れません(涙)。彼は商人ではなく、元は会津藩士。白虎隊の悲劇を目の当たりにした彼は、いつか彼らの無念を晴らそうとずっと影で動いていたわけですが・・・一座に関り、困難な時代でも必死に生き抜いていこうとする平吾たちの姿を見てこれまでの自分の姿勢に
疑問を投げかけていた。
捨吉もまた、幕末から明治にかけての時代の波に飲み込まれてしまっていた悲劇の人・・・。そのことが赤裸々に語られていく後半は
涙涙でございました・・・。そんな彼が最後に希望を託したのが平吾。その時にあるものを手渡すんですが…このシーン、本当に
反則だよ~ってくらい泣けます(涙)。
こういった、時代の変革期に自らの居場所を失いながらも必死に生き抜こうと前を向いて戦い続けた人物達の姿が、なんとなく、震災の悲惨な状況から必死に立ち上がろうとしている被災地の方たちの姿に重なるような気がしました…。
中川君も言っていたけど、この時期に、この作品が上演されるということは何か意味を持っているのかもしれません。
キャストについて少々。
中川@平吾久しぶりにアッキーの歌声を聞きましたが…本当に素晴らしい
安定感と清涼感!!あの真っ直ぐでよどみのない歌声が平吾のキャラクターにピッタリ当てはまってました。黒髪のアッキー見たのすごく久しぶりで…はじめ一瞬誰だか分からなかったんですが(爆)可愛くてよかったですよ。ダンスも頑張ってたし、見応え十分でした。
ちなみに初演ではサカケンさんが演じててものすごく体育会系な印象があったのですが、中川君が演じるとなんだか爽やかな風がスーッと吹きぬけていくようなそんなキャラクターに思えました。
藤岡@郡平衛初演では畠中洋さんが演じていたものすごいテンションの高い役だったのですが(笑)藤岡君が演じるとテンションはもちろん高いんだけど、どこか
朴訥な雰囲気があって周囲を和ませてくれるようなそんなキャラクターでとても可愛かったです。それに、中川君と同じく歌もしっかりしてるしね。ちょっとお疲れからか掠れる部分もあったけどあまり気にならなかったですよ。中川君との歌のコラボは迫力満点でした!
小西@弥助このところは『戦国鍋テレビ』で見かけることが多く(笑)舞台で見るのは本当に久しぶりだったのですが、以前よりも存在感がある芝居だなって感じられるようになっててとてもよかったです。歌の部分はアッキーと藤岡くんがあまりにもすごすぎるので3人になるとどうしても霞んでしまうのですが(汗)それでも、ホワッとした独特の
和み系弟キャラで観ていて癒されました。背が二人よりも高いのに一番ヘタレキャラでそのギャップも面白かったな(笑)。
大澄@右近いやはや、さすがはケンヤさん!剣舞の時からものすごく目立ってましたよ。あのすごい筋肉と迫力とキレのある動きは見応え十分です。歌は途中ちょっとひっくり返ったり掠れたりしてお疲れが見えたのですが、それでもしっかりと存在感のある右近を熱演。ほぼ全編笑顔を見せず、
硬派で不器用な右近を演じられていたのでなおさら彼の不器用な生き方が泣けました。武士の誇りというものに最後の最後までこだわり抜いた芝居は胸を打つものがありましたよ。とても素晴らしかったです。
山崎@捨吉銀之丞さんのお芝居見るの、昨年の愛之助さんとの『花の武将』以来だったのですが…相変わらず素晴らしい存在感!TSミュージカルは『天翔ける~』以来だと思うのですが、あの時よりも歌唱力がアップしているように思いました。前半はあまり出番がなくて影に徹することが多かったのですが、それでも出てくるだけでなぜかものすごく
目を惹くんですよ!捨吉の謎めいた部分を十分に植えつけて・・・そして最後のあの告白。その緩急つけた芝居が素晴らしくて大いに泣かされました(涙)。
菊池@静江右近の妹役だったのですが、あまり出番的には多くないんですよね。そのためか、ちょっと存在感が薄いと思えてしまったのが残念。静江の持つ儚さや悲劇性みたいな部分があまり見えてこなかった気がします。ただ、歌声はとても澄んでいて
きれいで印象的。高い音も上手く出せていたと思います。
大和@由紀子実は観劇前に一番不安視していたのがこの方でした…。『戯伝写楽』を観た時に悪い意味で衝撃受けたので(爆)。かなり恐る恐る…だったのですが…、あの時よりもかなり普通に見れたのでホッとしました。恐らく、役柄が大和さんに合っていたのかも。ナンバーも写楽の時より聞ける歌だったし。少し低音気味なナンバーが多かったので歌いやすかったのかもしれませんね。ただ、ちょっと音程があがってしまうとやはりガクっとなるくらい歌唱が落ちていたのが気になった(苦笑)。
目を惹いたのはやっぱり
スタイルの良さでしょうか!剣舞の時もスッとした美しさに目が行きましたし、洋装姿の由紀子は華があって美しい。どうやったらあんな体系になれるんだろうかと、そっちのほうに興味が行ってしまった(笑)。
照井さん、小原さん、俵くん、加藤さんはアンサンブル的な立ち位置ではありましたが、ちゃんとそれぞれに役名があって過去を抱えたキャラクターを演じています。その上でさらに多くのダンスナンバーもこなしていたので、ものすごく大変だったのではないでしょうか!
彼らの熱演あってこそ、この舞台は支えられているんだろうなと感じました。
照井さんは歌声も相変わらず柔らかくてきれいでしたね。
俵くんは先日被災地へ物資を届ける企画を立ち上げた時にそれに少し賛同させていただいたので自然と目が行きました。あの時に会った時の俵くんと舞台上の俵くんでは印象が全然違うなぁって当たり前かもしれないけど、そんなことにちょっと感動しました。
ちなみに、初演の感想は
旧HPにアップしてあります。ここよりさらにネタバレ全開で書いてますので(笑)ちょっと行間が狭くて読みづらいかもしれませんが…気になりましたら覗いてみてください。
全体的にとても素晴らしい舞台だったと思います。名古屋・大坂公演もあるそうなので興味がある方は劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
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