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大阪の梅田芸術劇場で大沢たかおさん主演のミュージカル『ファントム』がついに大千秋楽を迎えました。2年前は東京の青山劇場で大千秋楽を迎えていましたが、今回は大阪。でもたとえそれが九州・沖縄・北海道方面だったとしても私は駆けつけたと思う(笑)。
と、いうことで早い段階からチケットを確保してこの日が来るのを心待ちにしていたのですが…いざ来てしまうと本当に寂しくて哀しくて(涙)。未だに終わってしまったこと、大沢さんのファントムにもう会えないことを受け止めきれないでいます…。最終章でしたからね…(涙)。正直、この感想を書くのも涙涙になってしまってなかなか進めずにいたりしました…。

大楽の公演は…それはそれはもう、言葉では言い表せないほど素晴らしいものでした。チケット代金がかなり高額ではありましたが(汗)私はそれ相当の…もっと言えばそれ以上のものをもらえたと思っています。東京公演を3回、大阪公演を3回、合計6回…初演の3回を合わせると全部で9回、大沢さん主演の『ファントム』を観てきました。私個人の観劇回数としては決して多いほうではないのですが(←それでもかなり行ってるけど 爆)、間違いなく今までとこれからの舞台観劇暦の中で3本の指に入る特別な作品です。
そんなことを思い描きながら座席について、オーバーチュアが鳴るのを待っている時間帯…なんともいえないような胸いっぱいの心境になってしまった。

今回の公演で思ったことの一つにオーケストラの音楽の素晴らしさが挙げられます。再演は6回行きましたが、全ての公演で演奏にほとんどブレがなかった。安心して聞いていられたし『ファントム』という世界にドップリと浸ることができました。そういった意味ではとてもレベルが高い演奏だったと思います。梅芸は特に劇場音響も非常にいい状態だったのでまるでクラシック音楽を聴きに来ていたような気分でした。
オケの皆さん、ありがとうございました。

そしてモーリー・イェストンの素晴らしい楽曲の数々。私はこの人の創り出す音楽が心底好きです。その中でも『ファントム』は別格。心の琴線にこれでもかというほど触れてくる。劇中でエリックが涙ながらに「クリスティーンを聞けた」と語るシーンがありますが、私にとってこのミュージカルがまさにそれです。
今、この瞬間に、大沢たかおさん率いるカンパニーの創り出した『ファントム』に出会えたこと・・・それは「奇蹟」だったとすら思う。本当にありがとう、と心から伝えたいです。



千秋楽の主なキャスト
ファントム(エリック):大沢たかお、クリスティーン・ダエー:、フィリップ・シャンドン伯爵:古川雄大、カルロッタ:樹里咲穂、ゲラール・キャリエール:篠井英介、アラン・ショレー:石橋祐、ルドゥ警部:中村まこと、ジャン・クロード:永島克 ほか

以下、ネタバレ感想になります。恐らく、相当暑苦しい内容になっているし長いのでご注意を(爆)。興味のある方は追記からどうぞ…。




大楽なのでシーンごとの感想になります。ホントに恐ろしく長く暑苦しくなると思いますがよろしければお付き合いください。


Overture
最初の音楽が始まったところでは客電がついたままなので会場もちょっとざわついた雰囲気なのですが、今回の座席は皆さん非常に落ち着いて静かだったのでいつもとは違った気持ちで『ファントム』の世界に入ることができました。それにしても、やっぱり最初から音楽が素晴らしいよなぁ。クラシック音楽聴いているような感覚
緊迫した音調になって客電が消えるとなんだか自分の中でいつも以上の緊張感が…。あぁ、最後の『ファントム』が始まるんだ…と思ったらもうこの時点から目がウルウル状態になってしまいました(涙)。

Melody De Paris
杏クリスティーンの登場ですが、東京公演初期の頃から比べるとかなり動きに余裕が出てきたのが分かります。赤ん坊を抱いている女性にとても優しい笑顔を見せていたり、表情がすごくよくなった。そして歌ですが最初の頃よりも微妙にキーを下げて歌ってるからか杏ちゃん自身も歌いやすそうだったし観ていて聞き苦しいと感じることもなくなりました。決して上手い歌になったというわけではないんですけど(汗)全体的には最初の頃に比べるとずいぶん安定したと思います。そんな杏ちゃんを見て…せめて東京でこれに近い状態になっていたら…とついつい考えてしまった。それだけが本当に心残り。
それにしてもこの歌、本当に素敵なんですよねぇ。頭に残るし舞台上のキャラクター達の表情もすごくいい。個人的には楽しそうにスキップしてる角川さんの警官が可愛くて好きでした(笑)。それから初演とちょっと違うなと思っていたのがファントムを髣髴とさせる人物がこの中に混じっていること。片目に包帯を巻いていて乞食のような格好をして木箱を引っ張ってる。その中に仮面があって、警官に指摘されると慌てて立ち去るんです。とても印象的だった。

Phantom's Entrance
温かい日差しが降り注ぐようなシーンから一転して暗くジメジメした空間に場面転換し、ボロの布をまとったファントムが登場するんですが…階段のところで落ち着きなく体を小刻みに震わせている大沢ファントムが非常に印象的でした。毎回この登場シーンから心奪われてしまう。顔は客席にはほとんど見えない演出になっているにもかかわらずどうしようもなく惹きつけられる。そこにいるのは大沢たかおではなくてファントム=エリックなんですよね。「パリは墓場」と歌いだす声も哀しみと絶望が込められていて…聞いているだけでも涙が溢れてしまった(涙)。
そしてブケーを殺してしまうのですが…あの刺しかたは憎しみそのもので本当にゾクッとする。でも、一方でものすごく哀しいんです…。大楽では「哀しい」といった感情のほうがすごく大きくて気づいたらボロボロ涙がこぼれてた(涙)。

Dressing for the night
出てくるアンサンブルさんたちの煌びやかな衣装が素敵で毎回楽しみにしていたシーンです。それぞれのカップルの中での関係性も見えてくるし歌の内容も「オペラグラス覗いてもプリマだけ見てちゃダメ」とか言ってて面白い。さらには女性たちが男性に「新しい服を買ってね、流行遅れじゃ恥ずかしい」と歌うシーンもありファントムと住んでいる世界が全く違うんだと思い知らされるシビアな面もあります。
そんななか、あるカップルが階段中段あたりで歌いだした時にファントムがフッと上に現れる。そして「キスを交わす」というシーンになった時に思わず目を背けてしまう。これホント切なかったです(涙)。どんな想いでこの光景を見ているんだろうって…立ち姿から哀愁と羨望のオーラがものすごく感じられるんですよ、大沢ファントム(涙)。それだけに彼の歌う「パリ、闇の街」という歌詞が本当に胸が痛んでここでもまたボロ泣きでした…。

その後、ショレーさんとカルロッタがラブラブ状態で現れて自分たちがオペラ座の支配人になると宣言。それを聞いた客たちが口々に「それじゃあ私物化じゃないか!」とか解任されたキャリエールに「これからどうなるんですか」と詰め寄ったりものすごい緊迫感あるシーンになります。
大沢さんが全力でファントムを演じてることのオーラがキャスト全員に確実に染み渡ってるなと感じられる一シーンでもありました。アンサンブルさんたちの芝居も芝居に見えなかったから。そこに起こっている事件がものすごくリアルに見えた。

Where in the World
キャリエールが一人になったのを見計らいファントムは自分の住処に彼を招き入れる。ここの演出も初演とは違い大沢ファントムが現れる前にダミーファントムが出てくるんです。そのあたりが面白いなと思いました。
で、この時の大沢ファントムはボロの布を頭からかぶり顔はほとんど見えないような照明になっているんですけど…伝わるんですよ、彼の不安と怒りと哀しみが…痛いほど。キャリエールのことを本当に頼りに思っていただけにファントムにとっては彼が解任されたということはまさに死活問題なんですよね。体全体で怯えと今後への不安を体現している大沢ファントムから目が離せないし涙が止まらない…。そんな彼を特に感情を表に出すでもなく見守り淡々と事実を伝えている篠井キャリエールとの対比も非常に印象的でした。
さらにはカルロッタの歌声に激しい拒絶反応を見せるときの仕草も胸に迫る…。「私には美しいものが必要なんだ、分かるだろう!?」とキャリエールに懇願している時の大沢ファントムが切なくてたまりません。表情がよく見えないんだけど不安と苦しみで自分自身が壊れそうになってしまっているのがものすごく伝わってきて涙がまた…(涙)。さらに胸が痛むのが「時々忘れてしまうんだ、私に似合うのはこの陰気な空間だけだということを」というようなセリフ…。大沢ファントムの台詞回しがとにかく哀しくて哀しくてボロ泣き…。
そして♪Where in the World♪が来るものだから…ここからさっそく涙がMAX状態に(汗)。私は大沢さんの歌うこのナンバーが『ファントム』の中でも特に好きだったんですよね。初演の時から好きだったけど再演ではさらに洗練されてて…大阪にきてからそこからもう一歩進んだ何かがあった。歌も安定していたしそこに上手く感情を乗せる余裕もあった。「どうして生まれた、こんなところに、せめて一筋の光さしてくれ、この闇にも」のくだりは涙なくしては聞けません(涙)。美しい音楽を聴きたいと切望する気持ちも痛いほどストレートに伝わってくる。耳に手を当てて必死にそれを捜し求める仕草もあり嫌と言うほど彼の孤独感を痛感させられるのです。
そして最後の「その人を」の時のあのしっかりとした声量と声の伸び。きれいな歌い方というのとは違いますが、非常にドラマチックで激しく心を揺さぶられました。初演ではなかなか声が伸びなくて苦労していた姿を見ていただけに本当に感無量でしたね(涙)。ナンバーが終わってしまった後は「もうこの歌を大沢さんで聞けないのか」と想い寂しくて号泣状態になってました…私。楽の大沢さんの歌い方もいつも以上に感情が高ぶっていて本当に素晴らしかったです。

その後ジャン・クロードにシャンドンの招待状を見せにやってくるクリスティーンですが…楽のこの日はちょっと杏ちゃんの芝居が東京公演のような元気少女に戻りかかったかなといった雰囲気でした。でも違和感なかったし可愛かった。やたら三枚目を強調していた東京公演のときよりずっとこちらのほうがいいと思う。

This Place is Mine
樹里カルロッタの一番の見せ場であるソロですが…本当に彼女は楽しそうにこのナンバー歌ってましたねぇ。表情もコロコロ変わるので見ていて本当に楽しめるし見応え十分でした。オペラ歌唱はちょっと弱かったかもしれませんが、それでもカルロッタというキャラクターをしっかりと客席に印象付ける表現力は素晴らしかったと思います。
歌の後半でショレーさんがやってくるんですが、彼のカルロッタを見つめるまなざしがホントにトロ~ンとしてて微笑ましいんですよね。石橋ショレーさんの見た目とは違うヘタレっぽい部分が最高に素敵でした。
夫婦の時間になろうとした瞬間にジャンとクリスティーンが尋ねてきますが、本当に杏ちゃんのクリスティーンが東京とは違うイメージになったなぁと改めて思ってしまった。ちょっと気弱な女の子って感じになっててこちらのほうがシックリ来る。このシーンはクリスティーンの紹介が大金持ちの貴族であるシャンドン伯爵からということで急に二人の態度が変わったり、カルロッタがクリスティーンに「歌は上手い人のそばにいれば上手くなるから」と意味深な(笑)言葉を投げかけたりでけっこう笑いが楽でも起こってましたね。

Home
『ファントム』という作品の中でもこのナンバーは個人的にかなりお気に入りなんですけど、これまでは杏ちゃんの歌唱力がどうも今ひとつ安定せず微妙な心境になることが多かったんです。が、前楽あたりからなんだかとても聞きやすくなってて…大楽ではさらに安定していた気がしました。恐らく今までの中で一番安心して聞けたかもしれない。彼女の歌唱力を気にせず音楽に浸ってウルウルきてましたから、私。最初の頃は本当にどうなることかと本気で心配しましたが、よくぞここまで到達してくれましたよ、本当に。
そして後半で大沢ファントムの歌も入ってくるんですが…その佇まいを見ただけでドキッとしてしまった。彼の中の負のオーラがどんどん浄化されていくのが分かるんですよ。とても穏やかで…「できるはずだ、この人なら」のくだりで歓喜の感情が彼の中を駆け巡っていく。もうこの一連の感情の流れがものすごくリアルに伝わってきて…それだけで彼に感情移入して胸がいっぱいの気持ちにさせられてしまう(涙)。二人の合わさった歌声もこれまでの中で一番きれいに響いて拍手も大きかったです。
歌のレッスンをしたいと申し出るファントムが「できればそう願いたいが」とちょっと自信なく俯くシーンがとても印象的でした。恐る恐るクリスティーンに接してるのが分かる。この時の大沢さんの芝居が胸に迫る。振り向こうとしてるけどできないみたいな杏クリスティーンの表情も可愛くてよかった。階段から飛び降りて立ち去る演出もよかったです。大沢さんってアクティブで身軽ですよね。

そして歌のレッスンシーン。この日の大沢ファントムは今まで以上にエキセントリックだった。ピアノを弾いてる時の動きがとても激しくて後半はかなり髪を振り乱してたなぁ。クリスティーンの歌声にどんどん引き寄せられてその魅力に飲み込まれていくっていうのがかなりリアルに伝わってきました。
で、その合間に出てくる舞台上手で行われるカルロッタのアイーダ失敗事件についてのやり取りですが…阿部よしつぐ君、前楽に続き再び見事な全裸でカツラに虱がいたと報告に現れました(笑)。前楽では布切れみたいなので大事なところを押さえてましたが(笑)今回は自分の警帽で大事なところ隠してた(笑)。最後に石橋ショレーさんから「早く何か着てこいっ」とツッコミ入れられてましたよ。いやぁ、二日連続してよしつぐくんの見事な全裸姿観ちゃったよ~。素晴らしい筋肉が印象的だったわ~。

Phantom Fugue
ブケーの死体が現れてファントムがついに殺人事件を起こしてしまったことが発覚。この楽曲はとても緊張感に満ちていてスリリングで聴き応えがあります。耳にも残りやすいし途中からちょっとした交響曲を聞いているような気持ちにもさせられる。さらにこのナンバー歌ってる時のアンサンブルさんたちと中村ルドゥさん、石橋ショレーさんの表情がものすごく鬼気迫っててゾクッとします。角川さんの目の見開き方もすごかったですよ。目でも耳でもゾクゾクさせられるシーンでした。
後半部分で下手上部のほうに大沢ファントムが現れ怒り狂う人々を見つめているんですが…その表情は最初は「無」って感じ。ほとんど感情が表に出ていない。それがだんだん目が鋭くなっていって徐々に怒りにも似た感情が表情に表れてくるんです。そしてフッと哀しげな目も見せる…。登場している時間は短いのですが、その中に大沢ファントムの様々な感情が感じられました。これすごいことですよ、本当に。下から見上げた横顔がなんだかハッとするほどきれいだったし、マントの翻し方もすごくサマになってた。

You are Music
結局楽までよく分からなかった謎の5分休憩の後、ファントムとクリスティーンが現れる。最初に現れた大沢ファントムはどこか憂いを秘めていて自分の中に沸き起こった新たな感情に戸惑っている様子で…もう、観てるだけで切なくなってきてまたウルウルきてしまった(涙)。この感情が後に悲劇へと導いてしまうわけで…それを知ったうえでこの時の大沢ファントムを観てしまうと本当に泣けるんですよ。
そしてクリスティーンを外の世界で歌わせることを決意し二人で音楽を奏でていく。ここのナンバーもとっても美しくて印象的。初演ではイベントで大沢さんとこのナンバーを客席で一緒に歌ったなぁと懐かしい思い出も蘇ってきていろんな意味で胸が熱くなりました。あの頃から考えると本当にすごく進化したと思うよ。
ここで印象的なのは最初に出会ったときとは違うクリスティーン本人への想いが歌っているうちにどんどん溢れ出てしまったファントムが彼女にすがるような仕草で歌うシーンです。ここだけ切り取って観るとかなり妖しいシーンに見えるんですが(汗)、一連の流れでこの彼の行動を見ると切なくてたまりません。初めて恋愛感情に支配され彼女にどう接すればいいのか、触れたいけど触れていいのか、様々な感情があの行動の中には秘められている。破裂しそうな彼の想いが観ていて切なくて泣けてくるのです(涙)。そしてクリスティーンの手に触れて握った時に彼女もそれに応えてくれた、その喜びと幸福感から思わず笑顔がこぼれる大沢ファントム…。泣けたよ…。
いつもはこのシーンで静寂な時が流れていたのですが、楽ではちょっと遠慮がちではありましたが拍手が起こりました。ちょっとホッとした瞬間だった…。

The Bistro
本格的に登場してくる古川シャンドン伯爵。彼も東京公演で観た時よりもずっと進化しているなぁと改めて感じさせるほど優雅で気品溢れる芝居を見せてくれました。もう立ち姿からしてお金持ちの貴族って感じ。浮世離れしたような雰囲気があって根っからのお坊ちゃまみたいな伯爵(笑)。クリスティーンへの接し方もとてもスマートです。しかしながら古川君…本当にきれいな顔立ちだったわ~。
シャンドン伯爵に促されて歌うことになるクリスティーンですが、最初に戸惑って小さな声になってしまうときの杏ちゃんの表情がとても可愛くてよかったです。それを聞きながら小指立てて馬鹿にしたように笑ってた角川ウェイターも面白かった(笑)。そこへオケピからスッと現れるシルクハット姿の大沢ファントム。後姿しか見えませんが、その表情はとても優しくて穏やかだというのが背中から感じ取れる。大沢ファントムの手の動きの柔らかさもきれいだったし、あの安心しきったような柔らかい笑顔を見せていた杏クリスティーンもとても印象的だった。
そこからクリスティーンの歌は進化していくんですが、以前よりもかなり聞きやすくなってました。高い音の出し方も聞き苦しいと感じた東京公演からすればだいぶ改善されたと思う。音程はちょっと微妙だったけど、個人的にはそんなに気になるといったレベルではなかった。「この胸のトキメキをあなたに」とファントムに向き直ったときにはその姿はなくちょっと寂しそうな表情をしてた杏クリスティーンの芝居もとても良かったと思います。

で、彼女の歌に感激した中村ルドゥ警部。女性アンサンブルさんと仲良くダンスするんですが、この日はなんだかエドはるみがやってたようなグーグーダンスを披露してて、それをみんなも顔をしかめながら真似してたのが面白くて笑えました(笑)。この時のルドゥさん、めっちゃ楽しそうだったし微笑ましかったわ~。全裸で出てきたよしつぐくんもさっきとは打って変わってのイケメンっぷりで美声を響かせてました。
みんなで大合唱した後にあの中村ルドゥのスローモーションな動きがあって、それに応える石橋ショレーさんのシーンが出てくるのですが…大楽のこの日は石橋ショレーさん、いつものように1回転したあとさらにジャンピングスピンまで披露してくれましたよ(笑)。でもだいぶ軸がブレてたので転びそうになってて客席から笑いが起こってました(笑)。
クリスティーンが「タイターニア」の主役をやることが決まった後みんなが舞台袖にはけていくんですが、その時誰かが「タイターニア行きたいな」みたいなことを言った後「ミュージカルのファントムもいいよ」みたいなアドリブを言ってたのがチラリと聞こえてしまった(笑)。もう少しよく聞きたかったわ、そこのところの会話。

Who Could Ever Have Dreamed Up You
シャンドン伯爵がクリスティーンに熱烈ラブコールを送るシーン。古川シャンドンがクリスティーンに十字架のネックレスをあげるところがとても印象的です。「それは?」と尋ねられてちょっと考えた後に「お守り」って言ってかけてあげるんですよね。本当はもっと気の効いた愛の言葉を言いたかったんだろうなって思えて微笑ましかったです。
このナンバーはシャンドン伯爵の動きがけっこうあるんですけど、東京で観た時よりもずっと優雅に動けるようになりましたねぇ、古川君。それだけでなんか感動してしまった。以前は重々しくロボットみたいと感じられたところもゆったりと流れるようにステップを踏んでいて苦手意識を感じることはありませんでした。何よりも本当に貴族っぽい。あと「フゥ」っていうため息の歌い方が面白かった(笑)。
二人の距離が休息に近づいていく後半部分になると、上のほううに大沢ファントムが静かに現れます。少し歩いてきてから二人にハッと気がついて心の中で動揺が広がっていくのがあのちょっとした動き一つのなかにものすごく感じられて胸が締め付けられるように切なくなりました(涙)。そして少しずつ中央付近まで進んでいく。オペラグラスでその表情を覗いてみたんですが…もう、なんともいえない哀しみと嫉妬心に必死に耐えてるような顔してましたよ…(涙)。そして二人が去った後にクリスティーンに渡そうと持ってきた花束を取り出す。もうそれだけで私は号泣モード突入です(涙)。欄干の上からその花束を落とすんですが…この日は哀しみと苦しさでフルフルと体を震わせながら落としてました…。その姿があまりにも哀し過ぎてもう涙が止まらなかった(涙)。
ちなみに前々楽に観た時は花束を取り出した後にフッと自嘲して「なんて自分はバカだったんだろう」と言わんばかりの表情で落としてました…。それもかえって哀しかったなぁ…。恐らくここは大沢さんのその時の感情に因って色々違っていたのかもしれない。

初日の開演前のアンサンブルさんたちの小芝居ですが、大楽バージョンもすごく面白かったですよ。よしつぐくんと杵鞭さんのカップルがケンカみたいになるシーンは前2日間は色んなドラマがあったのですが、大楽はオーソドックスに「あなたその人と何かあったでしょう」と東京公演と同じような展開になっててアレッと思ったんですが、最後の最後によしつぐくんが彼女にキスをして突然指輪をはめて「結婚しよう」とプロポーズ。これには彼女もビックリで大喜び状態(笑)。後ろのカップルは「終わりよければ全て良しだな」と悟ったように語ってて笑いを誘っていました。
そして日替わりで楽しませてくれていた角川さんのチケットちょうだい観客。大楽は「チケットほしくてオバチャンおだてて飴ちゃんもろた♪」ともろ大阪を意識したアドリブ(笑)。ところが飴ちゃんもらってもチケットがなければ中に入れないわけで…「今日は初日なのになんだか千秋楽みたいな雰囲気だなぁ」と言いつつも(笑)この先どうしようかと悩んでる角川さん。そこへよしつぐくんが戻ってきて「見切れ席でよければ招待できるからよかったらどうぞ」と救いの手を差し伸べてくれた(笑)。これには大喜びでウキウキ退散していきましたよ(笑)。楽屋が同じだったという二人の見事な連係プレーでした。

楽屋では緊張するクリスティーンの前に意味深なドリンクを持ったカルロッタが現れてやたら彼女を不安にさせる。この持って行き方がなんとも憎らしくて笑っちゃうほど。樹里さんの悪巧み顔がとっても面白かったです(笑)。そして見事に計略に乗せられて喉を潰すドリンクとは知らずに飲まされてしまうクリスティーン。
その一連の様子を影からファントムがずっと見守っている。飲み干した彼女をジッと見据えてたのが印象的だったなぁ。誰もいなくなった楽屋でドリンクが入っていた器を持ち匂いをかぐ姿が実に美しくハッとしました。

Titania
そしてオペラが始まりますが…中西オーベロンの歌声にブラボーと大興奮の中村ルドゥ警部がなんとも滑稽で可愛いです。で、杏クリスティーンの歌ですが…おそらく、今までの中で一番きれいに歌えてたかも。あのまま続けてたらマズイとは思いましたけど(爆)それでも多少の揺れはあったものの持ちこたえて頑張って歌ってました。
途中で歌えなくなったクリスティーンにいの一番に駆けつけるシャンドンですが、その直後に上からロープを伝って大沢ファントムが降りてくる。いつもここの降り方が実に見応えがあってホレボレしていたのですが、この日はちょっとマントが翻り過ぎてちょっと残念だったかも(汗)。でもそのあとの怒り狂って剣を振るう大沢ファントムの姿はものすごい迫力で目が離せません!動きがとてもダイナミックだし、キレがある。それに仮面の奥の瞳が怒りと嫉妬に燃えていてゾクっとするほど怖い…。あの鬼気迫る芝居は本当に息を呑みますよ…。そしてそれと同時にこの彼の行動がとても哀しいのです(涙)。自分の感情でしか動けないファントムの姿が切なくて切なくて…彼女をさらってしまった後に躊躇いつつクロロホルムを口に当てさせる時のなんともいえない表情が胸に刺さりました(涙)。シャンドンに彼女を取られまいと哀しいほど必死になってた…。
そして眠ってしまった彼女を抱きかかえて「もう二度と放すもんか、誰にも触れさせない、この人を」と現れる大沢ファントム…その鬼気迫る悲壮なまでの雰囲気、その姿に圧倒されて涙が溢れて仕方なかったです(涙)。それに歌い方がとてもドラマチックで声の伸びが本当に素晴らしいですよ。ここまで持ってくるのにすごく頑張ったんだろうなというのがヒシヒシと伝わってきてそれだけでも感無量でした。

そしていよいよ2幕…。お別れの時が刻一刻と近づいてるって思ったらオケの音楽が鳴り出した瞬間から涙がボロボロ後からあふれて止まらなくなってしまった(涙)。ただでさえ泣ける本編の前からこんな状況でして…。

Without Your Music
ここのナンバーは音符がとにかくものすごく難しそうで、これまで大沢さんも歌いこなすのにかなり大変な想いをしているだろうなと感じることがあったのですが…大楽ではそこを見事に乗り越えたって感じでほとんど違和感を感じることなく聞くことができました。ひとつだけ気になるのは歌の中の言葉と言葉の切りどころかな。どうしても息を入れるために途中で言葉が途切れがちになるんですけど…そこを続けて歌うっていうところまでは難しかったのかなと思いました。が、それ以上に歌の中にファントムの孤独な心が染みこんでいて…それだけでも十分胸打たれるものがありましたよ。
クリスティーンがもしもここから去ってしまったら…と歌うくだりでの感情の入れ方が本当に素晴らしくて…もう完全に大沢ファントムに気持ちがシフトして涙が止まらなくなりました(涙)。そして自分を傷つき泣きつかれた子供の様と歌う時の…まるで自分が子供に戻ったかのような哀しみの渦の中で歌ってる表情がさらに涙を誘う(涙)。クリスティーンからもう一歩も離れられない気持ちが切なくて苦しくて彼と一緒に泣きましたよ…。

そこへキャリエールがクリスティーンを離すようにとやってくる。「嫌だっ!」と拒絶する姿はまるで子供が駄々をこねるかのような幼さが垣間見えます。キャリエール以外の人と接してこなかったが故に人格形成ができなかったんだろうなと思うとホントに哀しくなる…。体全体で怒りの感情を露にしキャリエールを責め立てる大沢ファントムの姿に心がかきむしられるような気持ちに支配されてしまって涙が止まらないです(泣)。
キャリエールが去った後、クリスティーンの首にかけられていたシャンドンからのネックレスを外しメラメラと嫉妬の炎を燃やしていくファントム。そこに秘められているのはただの怒りではなくてクリスティーンを取られたくないという彼の痛ましいくらいの必死の想いも秘められているように感じるんですよ…。♪Where in the Worldリプライズ♪のナンバーはいってはならない方向へ暴走していく彼の姿が切なくて切なくてまたしても涙涙の連続になってしまいました(涙)。もう本当になんですかねぇ、大沢さんの芝居は。どうしようもなく心が震えて仕方がないんですよ…。

目を覚ましたクリスティーンにキャリエールはファントムの真実を話す。彼は第三者を装いながら自らのことを語っているわけですが…徐々にそれが自分の体験したことに聞こえるように感情を高ぶらせて語っていく様が感じ取れました。篠井さんのこのあたりの演じ分けがとても上手い。
初演ではここで影絵のベラドーヴァが出て息子への愛を歌っていましたが、再演ではカットされたのでキャリエールが事の成り行きを全て言葉で説明する演出に変わりました。でもちょっとここで音楽がほしいかなとは思っちゃったかな…。

憎悪を募らせたファントム=エリックがまず最初に向かったのがカルロッタのもと。オペラ座から出て行くように忠告しても聞き入れなかったカルロッタに背を向けて手袋をはめる表情はゾクっとするほど静かな狂気に満ちている…。あれは怖いよ。で、許しの花束を彼女に投げつけるんですが…また階段で留まらずにかなり下まで落ちてしまってカルロッタを刺しに行こうとする時に大沢エリックがもう一度それを拾って彼女に投げつけてました。東京公演では私が観に行った回は全て階段のところに収まってましたが、大阪では命中率がイマイチ低かったかも。
ちなみに帽子を舞台袖に投げ捨てる時も前々楽も前楽も柱に引っかかってしまって(汗)、それだからか、大沢さん、脱いで進んでいく時にちょっと慎重になってたかも。その甲斐あってきれいに袖まで飛んできました。で、2回花束を投げつけられた樹里カルロッタですが、その花束もまた勢い余って落ちそうになってて…殺されそうな緊迫した状況の中で必死にその花束を落ちないように掴んでましたね(笑)。
それにしても、あのカルロッタ殺害のシーンでの大沢エリックの芝居は背筋が寒くなるほど恐ろしかった…。ありったけの憎しみをナイフに込めて彼女を刺してたから…。その姿が恐かったんですがそれと同時になんだかとても哀しかったです。ブケー殺しと同じような心境で観たかも。

そのシーンの直後にエリックとクリスティーンのピクニックシーンが出てくる。この時のエリックは童心に帰ったようでものすごくピュア。その落差が観ていて本当に切なくて切なくて涙が後からあとからあふれてきましたよ(涙)。声のトーンも全然違う。想像の世界の中で無邪気にはしゃいでいる大沢エリックの姿は本当に胸を打ちます…。
その最中、ふっと我に返って「僕は君も魔法だと思う」と告げるシーンがとても印象的です。ちょっと恥ずかしそうに俯きながら恐る恐る彼女に想いを伝えている姿がイジらしくて泣けてくるよ…。何かを言いかけたクリスティーンの言葉を遮るように再び童心に帰ってクリスティーンを連れて想像の世界で繰り広げられている光景を次々に語っていくエリック…。それはまるで、今の幸せな瞬間が自分の手のなかから零れないようにと必死に繋ぎとめているようにも見える(涙)。それがかえって切なくて哀しいのです…。

My True Love
エリックの幸せを突き破ってしまうのがクリスティーンの「お顔を見せてください」という一言。今までとても穏やかで優しい笑顔を見せていた大沢エリックの表情が凍りついたようになっていく…。それをなんとか拒絶しようとするのですが、彼女も一歩も引かない。「外の世界には色々とあるのですよ」と指摘されたときの「だろうね…僕には無縁だけど」っていう大沢エリックのセリフには号泣しましたよ(涙)。なんて哀しい寂しそうな表現をするんだろう、この人は!思い出すだけでも涙が…(涙)。あの「無縁」という言葉にどれだけの想いが込められているか…その哀しみを大沢さんは見事に表現してくれる。
それでも必死に「あなたの全てを知りたいの」と歌うクリスティーン。杏クリスティーンの歌ですが、ここも今までの中で一番安定していてよかったのではないでしょうか。あまり違和感を感じなかった。なので大沢エリックの動きや表情に集中することができて…またしても号泣(涙)。彼女の言葉に答えるべきかどうか迷っている姿が…観ているだけでも思い出すだけでも胸が痛くて痛くて泣けて仕方ないですよ。

そして意を決して彼女の前でひざまづいて仮面を取るエリック…。しかしクリスティーンは衝撃のあまりすぐに顔を背けてしまう。そんな彼女に震えながら近づいて顔に手を当てようとするエリックの姿が哀しくて悲しくて仕方がない(涙)。それでも逃げられてしまって…あの杏クリスティーンの表情がとてもリアルだったので余計に哀しくて仕方なかった…。あのシーンは杏ちゃんすごく頑張ってたと思う。

My Mother Bore Me
ショックのあまりその場に立ち尽くして仮面を落とす、あの、後姿のなんと哀しいことか!そして振り返ったときの茫然自失の表情…それが、急に顔をくしゃくしゃにしてまるで幼児が親とはぐれて泣き喚いているような表情に変わり…声を上げて泣く。この一連の大沢エリックの芝居は…っていうか、あれは芝居ではないですよ。彼の中には完全にエリックが宿ってる。目の前で子供のような声で泣きじゃくっているのはエリックを演じている大沢たかおではなく、エリックそのものだった。もう、あの声が…劇場全体に響き渡って彼の哀しみが一気に広がっていくのが手に取るようにわかる。あれを涙無くして見るっていうほうが無理です…。もう、胸が締め付けられるっていうのはああいうことをいうんですかね…。号泣ですよ(涙)。
歌詞の中に母親との思い出が出てくるのですが…その中で「例えどんなに辛いことがあったとしても」というフレーズがあって…その部分を歌う時の大沢エリックは哀しみの涙で声を詰まらせかけてしまうんですよね(涙)。「辛い」というフレーズがどんなに彼を今追い詰めているのかが手に取るようにわかる。泣き崩れそうになるのを必死に堪えながら歌い続ける彼の姿を見ていたら…号泣を越えて嗚咽しかけましたよ(涙)。私も必死に声が出そうになるの我慢して涙してたら自分の体が涙で震えてるのが分かったくらいだった…。あそこまでの心境になって泣いたのってこれまでになかったかもしれない。
そしてさらに「いつか愛してくれるよね、この僕のことも」というフレーズで大沢エリックは泣きながら母親にすがるような声で歌うんですよ(涙)。そんな姿観てたら私もう、自分が壊れそうになりましたよ(涙)。これ書いてるときも既に涙目ですから…。そこからクリスティーンへの想いへと移り変わっていく。全身全霊で、まさに命がけともいえる気持ちで彼女への愛を歌い上げる大沢エリックの姿はもう涙でほとんど見えなくなってしまうくらい泣きました…。枯らした声は涙声からくるものだったし、最後の叫びはまさに彼の魂からの叫び。泣き崩れんばかりの声で体全体を震わせての絶唱…言葉ではもう言い尽くせないほどの感動と衝撃が私の体中を駆け巡りました(涙)。あんな哀しい激しく狂おしい愛の歌を私は今まで聞いたことがない。そして歌い終わった後の表情は…もう狂気に満ちたものになってた…。あの切り変わりがすごいですよ。目が射るようなまなざしになってましたから…。
大阪公演での大沢エリックのこのシーンは明らかに東京公演のものを超越してました。大阪まできて本当によかったと思いましたね。これ以上の歌と芝居にはたぶんこの先もそう簡単には出会えないと思ったから…。

エリックの下から逃げ出してしまったクリスティーンはキャリエールと出会い泣きながら彼の顔を見てしまったことを告白します。その時の篠井キャリエールの「無責任な優しさは残酷なものだ」という台詞回しがグッときます(涙)。彼はエリックのことを一番分かっているから…。そこへ駆けつけてきた古川シャンドンがクリスティーンを大切そうに抱きしめる姿も印象的でした。
そして、ついにカルロッタの死が知られることに。自分は下品な人間だが彼女の歌を聞くと幸せな気持ちになれたと涙ながらに語る石橋ショレーの姿がとても切なくて泣けました(涙)。

ついに追われる身となったエリックが警官から銃を奪うんですが、この時の大沢さんの表情の芝居がものすごく印象的。銃を手に取った時なにやら不思議そうな表情を見せ、次第にそれが自らの武器であることを悟って狂気の眼差しで銃を彼に向けるんです。ゾクっとするようなあの狂気の眼差しが恐くもあり切なくもあり…やっぱり涙…。そして浴びてしまう一発の銃弾…悲劇の始まり…。彼が傷つくことはつまりはストーリーの終わりも近づいているわけで切なくてたまらなくなりました(涙)。
銃弾を再び浴びて傷ついたエリックを地下室へと連れて行くキャリエール。その時の血のあとに気がついてルドゥ警部が躊躇いながらその後を追っていく姿も印象的でした…。彼はキャリエールと旧知の仲だっただけに迷いが生じていたんですよね。

You Are My Own
傷ついたエリックに水を差し出し、それを苦しみから吐き出してしまう姿を目の当たりにしたキャリエールはこれまで抑えてきた罪悪感が一気に噴出してしまう。「醜いのはお前の顔じゃない、私の心だ」と語る篠井キャリエールの姿が切なくて泣けます(涙)。この想いをずっと心の中に秘めて生きてきたんだって言うのが痛いほど伝わってくる。そして、ついに自分が父だと名乗り出る。その瞬間の、大沢エリックの穏やかな感動に満ちたような表情が忘れられない…(涙)。
「認めてくれるかい、私が父だと」と歌うキャリエールに「気づいていた、あなたのこと、分からないはずがないだろう」と応えるエリックの、なんとも幸せそうなことか!おそらくはあれが本当の彼の姿なんだろうなと思ったら涙がまた止まらなくなりましたよ(涙)。キャリエールに抱かれながら子供のように彼に甘え「母さんの話を聞かせてくれないか」と語るエリックの姿は涙無くしては見れない…。母親の優しさをまるで昨日のように語り聞かせるキャリエールは父親の顔だったし、それを聞き入るエリックは息子の顔だった。「やっと一緒になれた」という彼の言葉が胸を突きます(涙)。どんなに過去の瞬間を待ち望んだんだろうなと思ったら号泣(涙)。篠井さんも涙声で歌ってたし、大沢さんは幼い子供のような表情でその胸に顔をうずめてた…。前2公演ではキャリエールの腕を必死に掴んでいた大沢エリックでしたが、大楽ではその力もなくなったかのようにただ父親の胸の中で目を閉じていましたね。その姿が逆に更なる涙を誘いましたよ(涙)。

そこへエリックに会いに戻ってくるクリスティーン。その声に再びすがるように近づいていくエリック。しかしそこにはシャンドン伯爵もいて…彼の存在に気がつくとエリックは途端に狂気に支配されてしまう。クリスティーンの名前を叫ぶ古川シャンドンの必死さがとてもよかったです。自分の体の痛みを忘れシャンドンに銃を向けるエリックの姿は私にはとても哀しく映り涙がまたまた止まらない…。
今にも彼に引き金を引きそうなエリックでしたが、クリスティーンの「やめて!!」という叫びが耳に入り…彼に向けては銃を撃たなかった。このシーンのときの杏ちゃんの鬼気迫る芝居が東京の時よりもずっとよくなってました。泣けるんですよねぇ、この場面も。最後の最後にエリックは一番憎んでいた相手を殺すことを思い止まるんですよ…クリスティーンのために…。銃を上に向けて撃ったときのあの胸かきむしられるような大沢エリックの表情を目の当たりにしたら号泣ですよ(涙)。

そしてついに逃げ場を失い、クリスティーンはエリックを守りために銃を警官に向ける。「来ないで!」と叫ぶ時の杏クリスティーンの何かに取り憑かれたかのような表情がとてもよかった。「逃げてください」というクリスティーンの言葉に弾かれるようにロープに乗り移るエリック。いつも思うんですけど、あれだけ激しい動きをしてきてよくあのロープを登っていく力があるなぁと…それだけで感動ものですよ。
ここはアクションシーンみたいになっていますが、実際には本当にとっても哀しいシーン。銃口を向けているキャリエールに対し「助けてくれ、どうすればいいかわかるだろう?」と懇願するエリックの言葉が哀しくて哀しくて…。そして最後の「母さんのところへ行きたい…父さん!」というあまりにも切な過ぎる願い…。引き金を引いたキャリエール。初演のように躊躇うことなく一気に銃を撃つキャリエールの姿もまた哀しくて仕方がないです(涙)。撃たれた瞬間、もう、滂沱の涙ですよ(涙)。あぁ、これで本当にお別れなんだって想いが私の中に駆け巡ってしまってあの銃声がいつも以上に辛くて辛くて仕方がなかった…。
死の間際、クリスティーンはエリックの仮面をそっと外しその顔を愛しそうに触れながら♪You are musicリプライズ♪を歌う。その声を聞きながらこの上ない幸せそうな表情でキャリエールを見つめ最後の最後にクリスティーンの顔を見て微笑みこの世を去ってしまうエリック。彼を狙っていた警官たちも哀しみの空気に満ち溢れ、角川さんなどは警帽を外して沈痛な面持ちで頭を下げててそれだけでも涙を誘いました…。大楽のこのシーンは本当に尋常な気持ちでは観れなかったですよ…とにかく寂しくて寂しくて…(涙)。
この気持ちが最後まで抜けなくて、カーテンコールのときも楽しくても涙が自然に溢れて出てしまって大変な状況になってました、私(汗)。

こうして、大沢さん主演の『ファントム』は幕を閉じました。私は本当にこのカンパニーで奏でられた『ファントム』が好きでした。最初の頃はちょっと色々ありましたけど(汗)最後はホントに「終わりよければ全て良し」みたいな感じで。正直、終わってしまったことをまだ受け止めきれずにいるくらいです…。
カンパニーの皆さん、本当に素晴らしい時間をありがとうございました。


最後に、主演の大沢たかおさんについて少しだけ。

初演の『ファントム』を観る前までは彼のことをあまり良くは受け止めていなかった私。しかし、彼の最初の歌を聞いた瞬間にそれまで抱いていたイメージが一気に崩れるのを感じました。『ファントム』は私と大沢たかおさんを改めて出会わせてくれた作品でもあります。あの時の歌唱力を超えた大沢さんの芝居に衝撃を受けたことは忘れられない思い出です。
それから2年、大沢さんのファンクラブに入って改めて出会った『ファントム』は素晴らしい進化を遂げていました。ミュージカル俳優のような歌い方ではないけれども、初演よりもさらにドラマチックに歌い上げられたナンバーの数々は私の心をこれ以上ないほど揺さぶり続けました。歌が上手いとか下手とか…大沢さんの場合は私はそういう感覚では捉えられません。そういったことを超越する、まさに命がけの全身全霊を込めた大沢たかおの渾身の芝居にこれまで感じたことのなかったような感情が沸き起こりました。大沢たかおさんの生の演技を観に行く、というのではなく、大沢たかおさんが創りだした…彼の中に宿ったエリックに会いに行く、そんな感覚。大沢エリックと出会えている時の私は本当に濃密な素晴らしい時を過ごさせてもらいました。
こんな気持ちにさせてくれるまで努力し演じきってくれた大沢さんに私は心からお礼が言いたいです。その気持ちがあまりにも強く動いて…恐れ多くも今回初めて手紙と差し入れを受付に託してしまいました(汗)。この自分の溢れるばかりの想いをどうしても大沢さんに直接伝えたかったんですけど…いざ手紙に向かうと緊張していいたいことの半分も伝えられなかった気がします(爆)。

ミュージカル『ファントム』はこの先もきっと再演する機会があると思います。作品も曲も大好きなのですが、たぶんそこにはもう大沢たかおさんはいない…。彼よりも歌や芝居がしっくりくる役者さんが演じられる日が来るかもしれません。
でも、私にとっての『ファントム』でのエリックはもう大沢さん以外考えられないんです。あの魂の全てを注ぎ込んだかのような大沢さんの芝居は何にも変えがたい私の中の「宝物」です。きっと一生…。

こんなすごい役者さんと出会わせてくれた『ファントム』はいつまでも私の中で特別な存在であり続けると思います。そしてこの作品にここまで入れ込ませてくれた大沢たかおさんのエリックもずっと心の中に住み続けると思います。
ミュージカルは本当にもうこれっきりですかね?気が向いたらまたいつでも帰ってきてください(笑)。

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大沢たかおさん、ミュージカルファンの一人として心からお礼を言いたいです。こんなに真摯にミュージカルに向き合ってくれて、あんなに魂が震えるほどの芝居を魅せてくれて、本当に本当にありがとうございました。


以上、これまでかつてないほど熱い『ファントム』感想でした(汗)。ここまでたどり着いてくれた皆様、ありがとうございました。


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テーマ : ミュージカル - ジャンル : 学問・文化・芸術

ファントム comments(10) -


コメント

Re: 再びこっそり・・・

みなもさん、こんにちは!コメントありがとうございます。

まさにトン単位の涙が出たんじゃないかってほど泣きましたよ~(汗)。
後半は涙が枯れたんじゃないかと思ったほどですし^^;
終わった後も体が震えるほどの感動ってそんなに体験できないと思いました。

素晴らしかったですねぇ…本当に。
この作品の中のエリックは潰れてしまいそうになるほど孤独ですが、
大沢たかおさんが演じるとそれがさらに深みを増して…
観ているこちらも胸が潰れるような想いを抱いてしまいました。
大阪公演での「My Mother Bore Me」は観ているこちらが嗚咽してしまうほど
壮絶な絶唱でしたよ…。思い出しただけでも涙が溢れてしまいます。
このシーンに至るまでの彼の孤独を体現した繊細で素晴らしい芝居…
改めて、大沢たかおはすごい役者だと実感いたしました。

この作品でエリックを演じられるのはたぶん大沢さんしか私もいないと思います。
あんなに心揺さぶる芝居は彼でしか体験できないのではないかと…。
なのでもしも再演された時に大沢さん以外のエリックで観れるかどうか…
非常に不安ですねぇ。
ちなみに海外のファントムCDは日本の初演を観た時に購入しちゃったんですよ(笑)。
歌は確かに音楽の先生と呼ぶに相応しいものなのですが…やはり大沢さんを観たあとだと
しばらくは聞けないですねぇ。そのくらい衝撃的だったということで。

今後も大沢さんには舞台に色々挑戦していってほしいと思います。

Re: こんばんは!

塾長さま、初めまして!コメントありがとうございました。
私の熱血レポに目を留めていただき感激です。

今年のファントム、初演をまたさらに超えたなぁと感じました。
カンパニーの皆様の結束力もとても固かったようですね。
その空気は確実に私達に届いていたと思います。
ミュージカル『ファントム』、間違いなく私の心に一生の思い出として残りましたよ。
素晴らしい舞台をありがとうございました。

Re: お疲れさまでした!!

トラベラーさん、こんにちは。コメントありがとうございます!

いやぁ、燃え尽きました、本当に…。
正直、終演したあと劇場からどうやって外に出たのか覚えてないくらい
大千秋楽終わった後は消耗しましたので(苦笑)。
3日間ものすごく濃厚な観劇をさせていただきました。
おそらく、今年の夏以上のすごい体験したんじゃないかと(汗)。
それほど大沢たかおさんのパワーは凄まじかったです。
ファントムな大沢さんはもう会えないと思いますが、他の舞台も見てみたいです。
その時は足を運べるといいですね♪

Re: No title

ひかりさん、こんにちは!コメントありがとうございます。

いやぁ、全力で書ききりましたよ…今回のレポ(笑)。
気がついたら夜が明けてましたからね^^;。
大阪公演3日間連続で観ましたが、本当に魂が震えるほどのものでした。
あの芝居と歌は大沢さんでなければできないと思いますよ。
未だに私現実から離れてるような気がしますし(爆)。
また大沢さんが舞台に立つことがありましたらご一緒しましょうね♪

再びこっそり・・・

大阪遠征、お疲れさまでした。
そして数トンの涙に溺れているかのようなレポート、ありがとうございました笑。
一か月近く経つ(早・・・)記憶に、また色彩が甦るようです。
私、塗り替えられるのが嫌で、いまだファントムCDを買えずにおります笑。
(そりゃ海外の俳優さんが、大沢さんより遥かに素晴らしい歌唱を聴かせてくれることはわかってるんですけども・・)

いったい大沢ファントムの何がこんなにも自分の心を鷲づかみにしたんだろうなあ、と。(いやホント心臓をギューと掴まれたようでしたよ笑。)何に共鳴しちゃったのかなあ。

思い出すのは、クリスティーンに逃げ去られた後の「My Mother Bore Me」で、ポツンと膝を抱えて泣く姿ですね。
痛み、哀しみ、絶望に満ちて、観ててとてもつらくて苦しかったのに。
それ以上に、なぜだか記憶の中のあの光景は本当に美しくて。

あれこそが彼の姿。

存在を否定された、ひとりぼっちの子ども。
記憶の中でしか孤独を慰められない子ども。
夜な夜な壁の割れ目から染みだして響いたという泣き声。

・・・「役者」ってすごいです。
「体現」するとはよく言ったものだなと、大沢エリックを見てると本当に思います。

だから、あの絶望の泣き声から「My Mother Bore Me」を歌い出した時は、「うわ・・・きつい」と(断じて彼の歌が、ではありません)。だってここでこの歌、この歌詞はきついでしょう・・・!!と。本当につらかった・・・。
実際大沢さんもきつかっただろうと思うのです。あそこまで役に入っていて、あの歌をすらすら歌えるわけがないですよ。

出逢わなかった方がよかったのかもしれない運命のひと。
もう遅い。突き落とされてもあきらめきれない思い。

エリックの心の叫びが伝わって。歌そのもの以上に、溢れんばかりに滲み出てくる思いが。

役を生きられる役者さんってやっぱりいいな、と。
大沢ファントムを見てると正直上手い下手ってなんなんだろうなと、そんな根本的なことを考えてしまうんですよ。(いや、彼は十分うまいですけど)

演出についても賛否あるようですが。
醜い者を愛せるか?
そもそも彼は醜いのか?
この作品は、彼を通して私達の姿を映し出すという要素もあるわけでして。
ファントムと呼ばれた人間の物語であるとともに、周囲の人間たちの物語でもあり。
決して明るくはないこのようなテーマから逃げない、ぶれない演出だったと思いますし、とりわけ数々の的確なセリフは素晴らしいと思いました。
そしてこの世界を、実体を伴って表現する役者は大沢さん以外にありえないでしょう(リアルすぎるくらいでしたが・・・笑)。

カンパニーに、大沢さんに心からの拍手を。
そして大沢さんには是非、もっと舞台に出てくださいと笑。

ああ、こういう出会いがあるから舞台はやめられん!・・・のかな?なんて思った公演でした。
マイ主演男優賞を大沢さんに差し上げて今年の観劇ライフは終了です。
来年もレポートを楽しみに拝見させていただきます♪

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お疲れさまでした!!

長文のレポ、本当にお疲れさまでした、燃え尽きてらっしゃるんじゃないかと(^_^;)
観に行きたくて、結局行けなかった…
今頃悔やんでも仕方ないですが(T_T)
シーンごとに細かく書いていただいてるので、凄く解りやすく梅田劇場を想像しながら妄想してました♪
もう大沢さんのファントム観れないのが悲しいけど、せめてえりこさんのレポで内容解って嬉しかったです!!
ありがとうございましたm(__)m

No title

こんばんは。
レポを読みながら色々と情景を思い出してしまい、泣いております(^-^;
大千秋楽も素晴らしい舞台だった様で…えりこさん、本当に
大阪に行かれた甲斐がありましたね。
大沢さんのファントムには、もうお目にかかれないのが惜しいですが…
また舞台に立たれる事があれば是非、観に行きたいと思います!

観劇レポ、お疲れ様でしたm(_)m

Re: ありがとうございます!!

きんぎょさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。

私と同じく初演で大沢さんに惹かれたとの事で親近感を勝手に抱かせていただいております。私もあの初演を観なかったら大沢さんのことをずっと誤解し続けてた気がするし(汗)。
再演舞台での大沢さんの歌は色々な意見を聞きますが、私はすごく
進化したなぁと感じていました。特にあの伸びはビックリしましたよね。
歌に自信がついてきた分、初演よりも感情表現が豊かになった気がしました。
上手くはないけど、あのドラマチックな歌いっぷりは何にも変えがたいものではないかなと…。

大沢さんは声もしっかりしているし演技も確かなので
舞台にとても向いていると思います。また充電した頃に
舞台作品に挑戦してほしいですね。でもファントムもまた観たいけど…^^;。

長々と読んで頂きありがとうございました!

ありがとうございます!!

素敵な、素晴らしいレポをありがとうございます!
ありありとあの時の情景が浮かんできました。

えりこさんと同じく、初演のファントムで
たかおさんと巡り合えた者として、今回のファントムは
かなり思い入れがありました。

初演の時はたかおさんの歌声に
違う意味で手に汗握って拝見していましたが(笑)
今回はとても安心して聴いていられましたよね^^

再演を初めて観た時は、正直言って
「初演とあんまり変わってないやん^^;」と
ちょっとがっかりしたんですが(期待しすぎてました)
回を重ねて観ていると、だんだんと引き込まれて
千秋楽を観終わった今、完全な抜け殻状態です(笑)

やっぱりたかおさんの演技はすごいですよね^^
あの最高の演技をまた観られたのは、本当に
幸せなことでした。(再演はない、とずっと言ってらしたし^^;)
たかおさんのファントムはもうないかもしれないけど、
また生の舞台を観たいですね!

本当に素敵なレポ、ありがとうございました^^


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★丑年牡牛座
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★趣味は舞台観賞
(特にミュージカル)
◎基本的にミーハーですw

★特に応援している俳優さん
合田雅吏さん、加藤虎ノ介くん、大沢たかおさん、葛山信吾さん、瀬戸康史くん、中村倫也くん、間宮祥太朗くん、大泉洋くん、内田朝陽くん、井浦新さん、北村一輝さん、堺雅人さん、大東駿介くん、田辺誠一さん、宅間孝行さん、ジェラルド・バトラーさん
★特に応援している舞台俳優さん
片岡愛之助さん、飯田洋輔くん、福井晶一さん、泉見洋平さん、宮川浩さん、畠中洋さん、渡辺正さん、北澤裕輔さん、岡田浩暉さん、石川禅さん、石丸幹二さん、鈴木綜馬さん、光枝明彦さん

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