を観てきました。市村さんの「それコン」観に行ったときにネット友様とこの舞台のことを知ってチケットを確保してもらったのですが、あれからここまで時の流れの速さを感じてしまった今日この頃…(汗)。
それにしても久しぶりだったなぁ…パブリック劇場。以前来たのはいつだったかすら忘れてしまうほど久しぶり。ここの劇場はこじんまりしていて舞台と客席も非常に近くなかなか観やすいんですが、椅子が硬いのがちょっと難点。特に今回のような重厚で長いお芝居だとけっこう腰が…(苦笑)。
で…私は初めて観る演目はなるべく前知識を入れずにほぼ真っ白な状態で行くことが多いんです。今回も同様に概要や他のブロガー様の感想も読まずそのまま劇場入り。さらには観劇直前までご一緒したネット友様と別演目について盛り上がって話をしているという緊張感のなさ(爆)。
いたしました…。これはヤバイ!と…(苦笑)。この作品はよほどその時代に興味があったり前知識を持っている人でないとついていくのが大変です。しかも私は『ロックンロール』という作品の題名や出演者、ポスターを見て
ものを目の当たりにしてしまったので完全に乗り遅れ状態に(爆)。もう、ついていこうとするだけで必死でしたよ。必死になりすぎて…途中何度か気を失うという失態も…(爆)。幕間にはチラシと一緒についてきた時代背景の説明紙を焦って読み始めたんですが…時既に遅し。
久しぶりに頭脳が痺れる…というか、パンクして煙が出そうになる観劇体験となりました…。全く分からないわけじゃないんだけど、さらにその奥の部分に入り込めないみたいな…そういったジレンマばかり感じさせられる感覚。そもそも最初にイメージしていたものと全く違う作品だったという…
この演劇に関しては、あまり気軽に人を誘えないかもと思いました。非常に政治色の強い作品だったのでその国の時代背景などをある程度頭で理解していないとついていくのが難しい。難解なセリフがバンバン飛び交ってましたし…正直これは、玄人受けする作品なんじゃないかなと…。
ストーリーの舞台は
チェコスロバキア。1968年にチェコがソ連の支配から脱却しようとしたが失敗し逆にソ連の占領下に置かれてしまったという革命運動事件…
プラハの春。これがきっかけになって物語がスタートしていくわけですが…主人公のケンブリッジ大学教授のマックス
(市村さん)とその教え子だったヤン
(武田くん)がその後の時代の波に飲み込まれていく過程の出来事が私にとってはかなり難解で頭が
オーバーヒート状態になってしまいました(苦笑)。
プラハの春事件に対する意見がマックスとヤンとでは違っていて…ヤンは安定した生活のできるイギリスを去り束縛された祖国・チェコへ帰っていく。ヤンは自分の愛するロックンロールを自由に聞ける権利を勝ち取るために帰国したものの現状は厳しい。秘密警察のような組織からマークされ、牢獄へ入れられる体験もする。それでも彼は、自由への希望を捨てない。そんな教え子の様子を気に病んだマックスはプラハを訪れて彼を守ろうと奔走する。
そこから時代は移り…ベルリンの壁が崩壊。チェコは民主化に成功するが、それに対する人々の想いは様々だった。
…と、大雑把に言えばこんな感じの話だったかと
(…たぶん… 汗)。とにかくヤンがチェコの民主化運動に参加していくまでのいきさつみたいな展開が…やたら私には難しすぎた。時代的には私が生まれている時と後半重なってきたりするわけで決して昔の出来事ではないんですけど…事件についての知名度があまりにも自分の中になさすぎた。
私が感じたのは、自分がのうのうと日本で暮らしている間に、民主化運動で戦った人たちは大変な苦労をしていたんだなぁということ。もっと知る必要があるのかもしれない、とは思いましたけど・・・それにしても、やっぱり
もう少し親切な作品であってほしかった気もする。多くの日本人にはあまり馴染みのない話だったと思うので、興味を惹きつけるための何かしらの工夫みたいな演出はほしかった気がします。特に1幕は淡々と事が進んでいく印象が強く、
意味が分からないまま置いてきぼりを食らう私のような観客もいたのではないだろうか。2幕は革命が成功したあとの話だったので少しは分かりやすくテンポもよくなっていましたが…それでもやっぱり理解するのが大変でついていくのが辛くなることもあったかなぁ。
キャストの皆さんについて少々。
市村さんはさすがの存在感で舞台を引っ張っていましたが、気になったのが1幕のカツゼツです。もともと市村さんはあまりカツゼツがいいほうではないのですが、今回はさらにそれが目立ってしまうシーンが多くセリフが聞き取りづらいと思うことが何度もありました。ただでさえ難しい言葉の羅列が続いている芝居なので、はっきりと聞こえないとなおさらついていかれないわけですよ(汗)。いつもそれをカバーするだけの器量があった市村さんでしたが、今回は難しかったのかなぁ。
2幕では余裕も出てきたのか聞き取ることができたんですけどね。時折お茶目な仕草をする市村さんらしさみたいな部分もありました。カーテンコールでのノリノリっぷりも可愛かったです。
武田くんのこういった本格的なお芝居を観るのは初めてだったんですが…彼は本当にいい役者になったなぁと感動しました。ストーリーは分かりづらいんだけど(苦笑)武田くん演じるヤンの心の葛藤なんかはこちらにも伝わってきて見応えありましたよ。2幕に入ってから年を重ねたヤンとして登場するんですが、その演じ分けもなかなかいい!今後も武田君のお芝居は色々観てみたいなと思いました。
歌えるし芝居も上手い
秋山さん、今回も魅了してくださいました!1幕はマックスの妻でガンへの恐怖で精神を病んでいく姿を熱演。痛々しくて切なくて見ていても胸が苦しくなるほどの演技力は本当にさすがです。さらにすごいと思ったのが2幕。妻は1幕で死んでしまったことになっているのですが、2幕ではその娘の成長した姿として登場するんです。1幕で娘を演じていたのは前田さんなんですけど、見事にその芝居を引き継いでいる!妻を演じた人と同一人物にはとても見えませんでしたよ。いやぁ、秋山さんの素晴らしさを改めて見せ付けられた舞台でもありました。
キャラメルボックスの看板役者である
西川さんがこのような重厚な外部作品に出演しているのは珍しいなぁと思いました。西川さんの外部出演作は12-3年前に見たきりだったのでなんだかとても新鮮。キャラメルで見られるような飄々としたお芝居もちょこちょこ出てはくるんですが、この舞台に関しては全体的に「イヤミ」な人間像を熱演。取調官のお芝居なんて迫力ありましたよ!キャラメルの西川さんという顔は感じられなかった。新たな西川さんを見れたようで嬉しかったです。
黒谷さんを舞台で見るのはこれが初めてだったかな。スタイル抜群だし顔も小さいしすごく美しい!ただちょっと舞台としての芝居はまだ出来上がっていないかもと感じてしまった。もう少し抑揚があるといい気がします。
山内さんはカツラをつけて出てきたり素顔のスキンヘッドで出てきたりと楽しませてくれましたが、全体的には重厚なお芝居で見応えありました。
前田さんも溌剌としたお芝居でよかったと思います。
今回の「ロックンロール」で一番よかったなぁと感じたのは
ラストシーンだったかな。ローリングストーンズのコンサートがあるっていう。あの展開はこれまで「?」ばかりが浮かんでいた私もグッとくるものがありました。
一番ポスターの雰囲気と合ってると感じたのはこのラストシーンだけだったかも(汗)。まぁ、たまにはこういう、脳に汗をかく観劇体験もよかったかなと…。でもやはり演劇は初めての人にも分かりやすいものであってほしい気がする…。
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