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彩の国さいたま芸術劇場で上演された『ムサシ ロンドン・NYバージョン』を観に行ってまいりました。ここの劇場はけっこう観やすいんですが、我が家からはけっこう遠くて片道約2時間強とちょっとしたプチ旅行(←ソワレ観劇はそういった理由でムリ 笑)。なのでなかなかここまで足を運ぶ機会がないのですが、この作品だけは初演を見逃していただけに今回こそは観たい!という想いが強かったのて思い切ってチケット購入いたしました。
ちなみに、この夏にもう一度来る予定があります(←チケットが入手できればの話ですが 笑)

劇場入り口でまず目を惹くのが井上ひさしさんの追悼コーナーです。『ムサシ』は井上ひさしさんの作品なのですが、今公演をご覧になる前に天国へ旅立たれてしまいました…。ロンドンやNYにも観に行く予定だったという井上さん、さぞかし無念な想いだったのではないでしょうか。奇しくもこの『ムサシ』再演脚本を手がけたことが最期の仕事になってしまわれたということで、蜷川さんをはじめとするスタッフやキャストの皆さんも思い入れはいつも以上に強かったのではないかなと思いました。
井上ひさしさん、たくさんの素敵な作品をありがとうございました。合掌…。

ちなみに向かって右側にはロンドンでの批評記事が大きく引き伸ばされて展示されてました。どの評もかなり絶賛しているようですごいなぁと思いつつ、写真がネタバレっぽかったので観劇前はサラッと素通り(笑)。でもこうして日本の演劇が海外に受け入れられるというのは本当に誇らしいし素晴らしいなと思いました。
パンフレットはなぜか白バージョンと黒バージョンがあって、中身は全く同じとのこと。最初は白がいいかなと思ったのですが「ムサシ」の文字がボヤけて見えたので黒バージョンを購入。ただ、黒だと指紋がついちゃうんですけどね(汗)。

さて、念願の「ムサシ」観劇ですが…、ほんっとうに面白かったです!井上さんと蜷川さんのタッグを組んだ作品は前回『表裏源内蛙合戦』を観てかなり微妙な感想を抱いてしまったので正直ちょっと不安もあったのですが、これはかなり面白かったです。今まで観てきた蜷川作品の中でもピカイチ級に個人的好み!通える範囲に住んでいたら確実にリピートしたであろう作品。いやぁ、観に行けて本当によかったです。
かなり気に入ったので休憩時間に舞台写真2パターン購入してしまった(笑)。


出演者
宮本武蔵:藤原竜也、佐々木小次郎:勝地涼、筆屋乙女:鈴木杏、沢庵宗彭:六平直政、柳生宗矩:吉田鋼太郎、木屋まい:白石加代子、平心:大石継太、浅川甚兵衛:飯田邦博、浅川官兵衛:堀文明、忠助:塚本幸男、只野有膳:井面猛志


以下、ネタバレを含む感想になります。ご注意を。


ストーリーは宮本武蔵と佐々木小次郎が巌流島で決闘するところから始まります。映像作品でいうクライマックス部分ですが、この作品はここからスタートするというのが実に面白いです。真っ赤な日輪がとても印象的な美しい決闘の場面。こういう魅せ方も蜷川さんはやっぱり上手いなぁと思ってしまう。武蔵は小次郎を一太刀で負かすのですが、実は小次郎はこの時まだ息がある。止めを刺さずに医者をと叫びながらその場を立ち去っていく武蔵。これがすべての始まり。
時はその後6年が経過するわけですが、その時間の流れを蜷川演出はゆったりした音楽とそれに合わせた竹林の動きで表現します。いくつかに分かれた竹のセットの後ろには黒子さんがいて舞台の上をゆっくりと時間が流れていくようにさまよってて、それが最後に上手い具合に寺のセットと融合していく。この魅せ方が実にお見事!大きく輝く月も美しかったです。

巌流島から6年が経過した頃、武蔵は鎌倉にある小さな寺で禅修業をしている。その場に居るのは材木屋のご隠居さんや筆屋の当主、新米住職、そして柳生宗矩と沢庵和尚。静かに穏やかに流れる寺の時間。それを打ち破るのが武蔵を血眼になって探していた小次郎の登場です。ここのシーンが非常にインパクトありで面白い。静から動への転換が実に見事で物語にグイグイと引き込まれていきます。
6年間の武蔵への恨みつらみを綴った3日後の果たし状をたたきつけた小次郎はそのまま武蔵と同じ寺に居座ることに。二人の決闘を何とか食い止めようとする沢庵和尚たちでしたが、どんな策を講じても二人は激しく言い争うばかり。この策のなかには柳生さんが考案したという「5人6脚」というものが出てくるのですが(笑)これが実に面白い。みんなで足を紐でつなげばそこから友情が芽生えるだろうという、なんとも安易な策なんですが(笑)やっている役者さんたちは必死の形相ですよ。皆それぞれ好き勝手に動こうとするものだからある人は足が開きすぎて裂けそうになっちゃってるし(笑)ある人は立っていられなくなって倒れちゃうし(笑)和尚さんはそんななか寝ぼけ眼だし(笑)もう大変です!そんな状況下で武蔵と小次郎は必死に相手に向かって今までの胸にたまってきた鬱憤をぶちまけあっている。大笑いしながらも、この二人のやり取りがなんだかとても印象的ですごく良かったです。こんなふうにお互いをさらけ出してぶつかり合うことで、武蔵と小次郎の距離が少し縮んでいくようなそんな気がしました。
もうひとつの笑いどころが乙女さんの敵討ちのための剣のレッスンシーン。小次郎は彼女達の心意気に共感して基礎から教えていくのですが、その最中でも武蔵がなにげにチャチャを入れてくる(笑)。そのたびに小次郎がキレかかって大騒ぎになるんですが、どうにかこうにかレッスンが続けられて…で、いつのまにかタンゴの音楽に合わせたダンスの動きになってる(笑)。ここに至るまでの動きが実に面白く見事で素晴らしかったです。

なんだかんだ色々ありながらも、武蔵と小次郎の決闘の時は刻一刻と近づいてくる。その前夜、小次郎の身に予想もしなかった出来事が起こって大騒動に。このシーンはずっと野良犬みたいに荒っぽかった小次郎が一人の青年に戻る瞬間があって…それがすごく印象的でした。そのときだけ彼は燃え滾る復讐心からフッと離れるんですよね。心の奥底に隠れていた彼の本性みたいなものが見えてなんだかちょっとジーンとしてしまった。
結局その事件も捏造だと分かるわけですが、ここのやり取りでは武蔵と小次郎がなぜか意気投合している。それはまるで兄と弟のようなやり取りで。見た目はコミカルで笑えるんですが、二人の空気は明らかに以前とは違うもので観ているこちらとしてはそのままの関係でいてほしいという気持ちにさせられるのです。

そんな二人ですが、決闘の時は避けられない。しかし、お互いに3日前とは明らかに違う想いを秘めながらで対峙している。二人が斬りかかろうとした瞬間、驚きの展開が待っています。あぁ、そういうことだったのねと今まで起こっていたことが納得できる結末。それはものすごくシンプルでストレートな表現なのですが、それだけに素直に一人ひとりの言葉がこちらに確実に響いてくる。

「死んでしまってから初めて分かる、生きているときの輝かしい時間」

井上ひさしさんがこの芝居の中で一番伝えたかった言葉がこのクライマックスシーンに集約されています。死んでしまってから生きている時間を愛しんでももうそのときは戻ってこない。だから生きている人には命を無駄にしてほしくない。復讐は復讐を生んでいく、その連鎖をいかにして断ち切るか…それはとても難しいこと。小次郎は武蔵に対してものすごい復讐心を抱いていたわけですが、この出来事を目の当たりにしてある決断をする。そして武蔵もそれに従う。決闘の前から、二人にはそうさせる準備が整っていたとも見れるこのシーン…とても印象的でした。
ここを経ての、ラストシーンはとても感動的です。武蔵が小次郎のことを「誰ですか?」と尋ねられたときのあの一言が血の通ったとても温かい素敵な響きで…あの言葉を聞けただけでもウルッと涙ぐんでしまった(涙)。そういう境地に至れた二人はとても幸せだったと思うし、実際にもできればそうあってほしかったと思ってしまいました。

ストーリーも素晴らしければキャストの皆さんも本当に素晴らしかったです。
藤原@武蔵はどっしりとした安定感とどことない不安定さが同居したような、なんとも魅力的なキャラクター。台詞回しもしっかりしているし、姿勢がとにかくすごくきれい。勝地@小次郎は予想していた以上のものを魅せてもらった気がします。初演の小栗君と比べると華やかさはあまりないのかもしれませんが、あの狂犬のような刺すような目線、6年間の苦悩を髣髴とさせる雰囲気、荒々しさの中にフッと見せる孤独な一面、それらがとにかく本当に魅力的。勝地くんがあんなに小次郎にマッチするとは思いませんでした。藤原くんとの芝居のバランスも非常によかったし、正直な話かなり萌えました(笑)。
乙女@杏ちゃんは若いのに本当に安定感のあるしっかりした女優さんですねぇ。ベテランの役者さんに混じっても全く負けていないところがすごいと思う。まい@白石さんは…久しぶりに拝見したのですがやはりすごいパワーをお持ちの女優さん。あの独特の台詞回しと存在感は最強です!何をしても目がいってしまう…というか目が離せない(笑)。柳生@吉田さんは終始コミカルな役回りですごい意外でした。いやぁ、あんなコミカルな吉田さんを見たのは初めてかも。それなのにちゃんとこのストーリーの中でしっかりとした存在感を放ってて周囲引き締めている。さすがだなぁと思いました。平心@大石さんは新米のお坊さんだったのですが怯えっぷりとかが可愛くて面白かったです。沢庵@六平さんはおじいちゃんメイクが可愛くて最高(笑)。柔らかい雰囲気ながらも締める所はしっかり締めてて、台詞の一つ一つの説得力も素晴らしかったです。

いやはや、本当にいい舞台を観れました。これ、映像化しますかねぇ。初演のはWOWOWの録画があるからいいのですが、再演バージョンもぜひ映像化してほしいです。勝地くんの小次郎はもう一度観たい(笑)。
この公演、さいたまが終了すると夏にはNYへいよいよ出発するそうです。NY公演、成功を心からお祈りします!


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テーマ : 観劇 - ジャンル : 学問・文化・芸術

ストレート演劇 comments(6) -


コメント

Re: 観ました!

シリウスさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

「ムサシ」今映画館で上演しているんですよね。私ももう一度観に行きたかったです。
ラストの二人のやり取り、たしかに泣けますね。史実もああであってほしかったなと。
DVDの発売も決まったので、余裕ができたら購入したいところです。

観ました!

私は映画館で。予算の都合で・・・(Livespire)

私は、最後の2人の言葉で大きな涙がポロッとこぼれました。
こぼれる音がするんじゃないかというくらいの大きな涙でした。
泣くと思わなかった・・・。

Re: ムサシ!!

トラベラーさん、こんにちは!コメントありがとうございます♪
「ムサシ」は過去観てきた蜷川作品の中で一番個人的にヒットした作品かもです。
蜷川さんの舞台ってけっこう当たりが多いんですけど、これは面白かったですよ~。
WOWOWで放送されることがあるかもしれないのでその時はチェックしてみてください。
北村さんの「恋のから騒ぎ」も面白かったですよね。
あのキラキラ王子っぷりには萌えまくりでしたwww

ムサシ!!

こんばんは~
凄い面白そうですね!!
蜷川さんが関わる舞台は北村一輝くんの「恋のから騒ぎ」以降観れてません…
また、虎ちゃんの舞台を優先させたのでその他の舞台はたぶん観に行けません(;_;)
仕方なく、鬱憤晴らしに映画で代用(でも、映画と舞台は別ものだ…)

Re: NoTitle

yumikoさん、コメントありがとうございます。

「ムサシ」はWOWOWでやっていたのは録画していたのですが、
今回の再演を観るまで封印していて観劇後に見ましたw。
5人6脚シーンは実際に生で見るとものすごく大変そうでしたがかなり笑えますね~。
ちなみにさいたまへは8月にもう一度行くことになりました(笑)。
またレポートしますね♪

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